「臨時情報」の発表前後の「住民生活イメージ」
まず、(「真夜中に」「早朝に」「昼前後に」「夕刻に」「夜間に」と様々なケースがありうるのですけれども)、最も深刻な状況下に突然身を置くことになるのは「南海トラフ地震の被害想定対象地域内住民宛に『臨時情報』が発表される前に(『マグニチュード7クラスの前震』か『マグニチュード8クラスの大地震』か『マグニチュード9クラスの巨大地震』がもたらす<大地の揺れと津波>によって)被災地化してしまった地域で生活する住民の方々」なわけですが、
この方々の場合には、東日本大震災のときに見聞きしたり体験したことを土台として考えると、(もちろん被災の程度が重度・中度・軽度の方々では受けたダメージに大きな相違が生まれてしまいますけれども)、次のように展開していくのが一般的なのではないか、とイメージ化することができます。
き損したインフラ環境の中で「最低限の衣食住」を確保
(a)突然の地震と直後に襲ってくる津波などから「状況次第では高台や高所へ避難」することで身を守り、
人命や健康をめぐって異変が生じていなければ、「停電」と「断水」と「情報インフラの機能マヒ」と「(ガス爆発事故回避のために面単位での復旧作業を終えるまで何週間かかるか分からない)都市ガスの供給停止」などによって生活インフラが大きくき損した環境の中で(何度も発生する「大きな余震」に恐怖心を掻き立てられながらも)「避難所内割り当てスペース」や「自宅内の居住可能な空間」に身を置きつつ、
「自宅内に備蓄しておいた飲食料品」や「配給される(被災地外から到着したものを含む)救援物資」などで最低限の衣類と食料で生活を維持し始められる。
延々と続く「公人としての職場での活動」と「私人としての生活再建作業」
(b)一方で、発災直後に即刻開始される政府・自治体などが目の前で展開してくれている救援・救出活動に対して心から感謝の気持ちを抱きつつ、
可能であれば「勤務先からの(平常時の活動態勢を取り戻すための)出勤要請」に応えたり「生活再建のための『自宅内に散乱した大量の品々の片づけ』と『自宅内で破損した品々の代替品の選定と購入と(増産体制・輸入体制が整わずしばらく待たされることになるかもしれない)現品の受け取り』」などを休日なしでこなしたりしている間に月日が過ぎてゆく。
被災地内外の疎開先への移動を始める方々も
(c)そして、手を差し伸べてくれる人や組織があって受け入れ先を確保できた一部の方々は(自宅内の備蓄品が尽きそうになった段階で、プライバシーを保てない避難所に比べると日常生活の質をより以前のレベルに近づけられる)被災地内外の疎開先に移動し始め、被災地内の現況を取材している中で戻れるタイミングを確認できた方々から戻ってくる。
「いのち・暮らし」の守り方(=個々人に求められる自助減災行動メニュー)
「南海トラフ対応方針報告書」中の例示メニュー
では、「このようにイメージ化される被災社会で『生活の質のレベルダウン』をどのようにすれば最小化できるか」ですが、「南海トラフ対応方針報告書」の中で「『”避難”か”警戒”を呼びかける臨時情報の発表』の後に住民がやるべきこと」として例示されている
「(『家具の固定の確認』『家族との安否確認手段の確認』『避難場所・避難経路の確認』『家庭における備蓄の確認』といった)『日頃からの地震への備え』の再確認」と
「(『非常持出袋等すぐに避難できる準備』『転倒、落下物等のない安全な部屋で過ごす』『親戚・知人宅への自主避難』といった)個々の状況に応じた防災対応」
については、
「(このパターンではすでに被災者化されているところから『<日頃からの地震への備え>の再確認』の部分を)『発生しうる”余震”か”本震”』に備えての再確認」と読み替える必要がありますが、
基本中の基本ですので、発災の前から取り組み始めている必要があります。
個別メニューと関連投稿記事
また、多くの自治体サイトには、(「家屋の耐震化」「家具の転倒防止」「防災グッズの用意」「飲食料品の備蓄」「ハザードマップの事前チェック」など)「(多くの方が分かっていてもなかなか実行できていない)自助減災行動メニュー」が掲げられていますが、
(「海溝型の地震」であれ「活断層型の地震」であれ地震が突発した後に「施工業者や物品の獲得競争」が激化することは十二分に考えられることですので)、それよりも前に「自助減災行動メニュー」の中で取り組み可能なものは実践しておかれた方がよい、ように思えます。
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より充実した「自助減災行動メニュー」づくり
さらに、発災前には
(a)「ご家庭によっては『高齢者・要介護者・子供の近所の高台にある施設などへの<避難・収容>が確実に行われるようにするための独自調査への着手』か『より安全度の高い南海トラフ対象地域外にある施設などへの<転居・転出>を前もって行っておくための独自調査への着手』」
(b)「<激しい揺れによるエアコンの故障>に代表される物品の破損などに備えた『(夏季に風通しを良くするための<網戸の修繕>や次の大きな揺れによる落下で二次災害の加害者になることを避けるための<吊り下げ型エアコンの床置き化>など)家屋周り物品の整備』」
(c)「停電・断水・ガスの供給停止による耐乏生活(と場合によっては避難所でのプライバシーのない共同生活)などに備えた『(体調が許せば<温水の通年使用中止><冬季の暖房便座・電気敷布の使用中止と(二千円程度の品でもそれなりの機能を持つ)防寒敷マットの導入>や<入浴後風呂水の浴槽内常時保存>など非常時生活とのギャップを小さくする方向への)生活スタイルの変更』」
(d)「南海トラフ対象地域外に心当たりの人や組織があれば『<疎開先になり得るかの打診>と<内約の取り付け>』と『運行していれば利用できる可能性を持つ被災後避難ルートの独自調査への着手』」
などをやれることであれば実行されておかれた方がよりよい、と思えます。
そして、(「最近地震が多くなったな」という心証を持たれるなどして)「停電リスク・物資供給リスク」などが強く心配される状況になれば、多くの方が経済合理性に基づいてこれまで選ばれてきた行動を(いつ「停電」「モノ不足」「情報インフラの機能マヒ」などが起きても「生活の質をめぐる最小のダメージ発生」で済ませられるように)
発災後に備えて
「(『充電率50%以下キープ』を勧めるネット記事が多い)スマホの100%充電常態化」
「(『東日本大震災』以前には50%を割ったあたりで給油する人が多かった)自家用車ガソリンタンクの満タン化」
「(キャッシュレス決済率100%ではない)現金を使うこともある物品購入」
といった非常時モードの行動に切り替えておかれた方がよりよい、と思えます。