身をもって知った自主防災の大切さ

仙台市民の21.6%が「保存食や水の備蓄」を中止

もくじ

しっかりと実施され分析されたアンケート

「仙台市民の場合、『保存食や水、生活用品の備蓄』を『東日本大震災の前も後もしている人』が30.3%、『震災後にするようになり、今もしている人』が34.0%、『震災直後はしていたが、最近はしていない人』が21.6%」
といったことが書かれた、2014年9月に仙台市消費生活センターによって実施された「消費生活に関するアンケート報告書」が、2015年2月上旬にネット上で公開されました。

「8月1日現在の住民基本台帳より年代ごとの人口に応じた数を無作為に抽出した仙台市内在住の20歳以上の男女5,000人に郵送して回収率は38.1%」ということですので、回収率は過半数を下回るわけですけれども、それなりにしっかりと実施され分析されたアンケート調査だと思います。

『震災前後の意識・行動の変化』への回答」へ

「震災前後の意識・行動の変化」への回答

選択肢は3つ

いろいろなことを聞いているので「興味深い回答」がいくつもあるのですが、最も興味深く見たのは
東日本大震災の前後で、普段の生活の意識・行動で変わったことはありますか」という『問20』に含まれる11項目の設問への
東日本大震災から3年半が経過した時点での
震災前も後もそうしている(A)」
震災後にするようになり、今もしている(B)」
震災直後はしていたが、最近はしていない(C)」
などの選択肢への回答ぶりでした。

実践者が8~9割の回答群

回答群は三つに分けられますけれども、
第1の回答群は
A(78.5%)+B(13.2%)=91.7%の「物を大切にし、できるだけ長く使う
A(64.0%)+B(17.8%)=81.8%の「ごみを減らし、再利用やリサイクルを行う
A(63.9%)+B(17.9%)=81.8%の「食品ロス(消費されないまま廃棄される食品のこと)をなくす・減らす
A(63.0%)+B(18.0%)=81.0%の「商品やサービスを買う時は本当に必要か考えて買う
A(59.7%)+B(19.8%)=79.5%の「新聞やテレビ、ラジオなどの情報は内容をきちんと読み取り、自分で取捨選択し活用する
A(56.3%)+B(28.7%)=85.0%の「省エネ製品の購入、節電・節水など、省エネを心がける
です。

過半数の人が「震災前も後もそうしている(A)」と答え
1~3割の人が「震災後にするようになり、今もしている(B)」と答えているところから、
この回答群では今その実践者が8~9割の人々に達しています。

実践者が6~7割の回答群

また、第2の回答群は
A(46.2%)+B(15.2%)=61.4%の「近隣とのコミュニケーションを心がける
A(38.7%)+B(28.3%)=67.0%の「電気、水道などの供給や料金の仕組みに関心を持つ
A(36.8%)+B(25.5%)=62.3%の「地産地消を心がける
A(35.2%)+B(40.9%)=76.1%の「エネルギー問題に関心を持つ
です。

4割前後(=半数以下)の人が「震災前も後もそうしている(A)」と答えていたところに
2~4割の人が「震災後にするようになり、今もしている(B)」と答えるような変化が起き、
この回答群では今その実践者が6~7割の人々になっています。

「個人備蓄を継続中の人々」は2割も低下

そして、第3の回答群に唯一相当する
A(30.3%)+B(34.0%)=64.3%の「保存食や水、生活用品の備蓄をする」は、
11項目の設問の中で最も低い3割の人が「震災前も後もそうしている(A)」と答えていたところに
3割強の人が「震災後にするようになり、今もしている(B)」と答えるような変化が起き、
今その実践者が6割強の人々になっています。

ですが、この設問については
震災直後はしていたが、最近はしていない(C)」と答えた人が(「C」が2番目に多かった「近隣とのコミュニケーションを心がける(12.0%)」のおよそ2倍にあたる)21.6%もいますので、
「震災発生時の『備蓄』実践者は30.3%。震災直後の実践者は約3倍の85.9%に増えたけれども、『備蓄』を中止した人が21.6%いて調査時点での実践者は64.3%」という事実の方により注目すべきであろうと思います。

『他地域での個人備蓄の弱さ』がより心配に」へ

「他地域での個人備蓄の弱さ」がより心配に

以前の投稿記事「地震保険加入のおすすめ」と「地震保険加入のおすすめ(その2)」にも記したことですが「『宮城県沖地震の発生確率は99%というアナウンスメント』と『東日本大震災の経験』とがあって宮城県民の大地震に備える意識は全国平均よりかなり高い」というデータがある中でのこの調査結果ですので、
「仙台市内でこのようなことであれば、その他の地域で生活されている方々のご家庭での『保存食や水、生活用品の備蓄態勢』はもっと弱いのだろう」と心配度が高まってしまいました。
「機会を見て、避難グッズや備蓄グッズに触れる記事も書いてみたい」と、改めて考えるようになりました。

(投稿日:2015/02/19  更新日:2018/04/12)

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