理解不足だった「現行地震保険制度」

地震保険で支払われる保険金[引用元:日本損害保険協会「地震保険で支払われる保険金について」]

地震保険で支払われる保険金[引用元:日本損害保険協会「地震保険で支払われる保険金について」]

もくじ


目的は「被災者の生活安定への寄与」

「地震保険制度がどのようなものであるか」については
日本損害保険協会の「地震保険のページ(リンク先:日本損害保険協会「地震保険 ポイント」)」が分かりやすいのですが、
火災保険とセットで希望すれば加入することのできる地震災害専用の保険です。

津波で流された自動車は
「保険金支払いの対象外」ですけれどもオプションで
地震・噴火・津波車両全損時一時金特約(リンク先:損保ジャパン日本興亜「個人用自動車保険『主な特約一覧』」)を受け付けている損保会社もあります。

地震保険制度は、
財務省の「地震保険制度の概要」のページに書かれているように、
「地震・噴火・津波による被災者の生活の安定に寄与すること」を目的としています。

『支払保険金額の落差』が問題に」へ

「支払保険金額の落差」が問題に

また、「損害額を『全損』『半損(2016年末までは<大半損>と<小半損>とに2分されていませんでした)』『一部損』に分ける基準と支払保険金額」については、
日本損害保険協会の「地震保険で支払われる保険金について」のページが分かりやすいのですが、
支払保険金額は
「全損」=契約金額の100%
「半損」=契約金額の50%(「全損」の半分)
「一部損」=契約金額の5%(「全損」の0.5割)
と大違いなのですから、
少しの違いで「『全損』に届かなかったケース」と「『半損』に届かなかったケース」とで査定への苦情が噴出しがちな制度であったことは否定できない事実です。

追記事項
2017年1月1日にスタートした現行制度での支払保険金額も、
(分かりやすいのでこのページのトップ画像には日本損害保険協会サイトに残されている「東日本大震災被災者向けニュース内の『当時の制度の説明イメージ』を引用していますが)、
「全損」=契約金額の100%、「大半損」=契約金額の60%(「全損」の6割)、「小半損」=契約金額の30%(「全損」の3割)、「一部損」=契約金額の5%(「全損」の0.5割) と大違いなのですから、
改善はあったものの、「『全損』に届かなかったケース」と「『大半損』に届かなかったケース」と「『小半損』に届かなかったケース」の場合には「査定時の少しの差異によって支払保険金額が大きく変わってくる」という構造的な問題を内包していることに変わりはありません。

非加入世帯は『支払保険金=ゼロ』」へ

非加入世帯は「支払保険金=ゼロ」

被災時には「宮城県内世帯の3分の1だけが加入」

ですが、被災体験記ノート投稿記事「地震保険加入のおすすめ」と「地震保険加入のおすすめ(その2)」とに記したように、
東日本大震災のあった2011年3月末における「宮城県での地震保険加入率(地震保険契約件数を総務省の住民基本台帳に基づく世帯数で除した世帯加入率)」は全国2位の33.6%(全国平均は23.7%)でしたから、
全国平均より10ポイント高いとはいえ、宮城県内の世帯の3分の2は非加入だったという計算になります。

被災年末には「県内世帯の2分の1が加入」まで向上

もちろん、非加入世帯の中には「損害は軽微」というお宅もあったと思いますが、
2013年12月末における「地震保険加入率」が全国1位の50.4%(全国平均は27.9%)とほぼ3年間で(全国平均が1割増に過ぎないのに対して)丁度5割増となっていますので、
「加入しておいた方が良かった」と思われた方がそれなりにいらしたものと推測しています。

できることであれば加入手続きを

なお、「昭和53年宮城県沖地震」を報じる当時の地元紙を図書館で見たところ「『地震保険制度があまりにも不完全』と嘆く住民が多い」といった趣旨の記事が載っておりましたが、
「阪神・淡路大震災」などで明らかになった問題点を是正して現行の「地震保険制度」になっているわけですから、
加入していた被災者の一人としての意見を求められることがあれば「(非加入世帯は10%以上の損害が発生したとき『一部損の支払保険金』すら受け取れないので)加入できるものならば加入されることをお勧めしたい」と確信を持ってお答えすることになろうと考えています。

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