分かりにくかった「所得税の減免」 | り災証明書

国税庁「東日本大震災により被害を受けられた方へ」

国税庁「東日本大震災により被害を受けられた方へ」

まったくなかった「区役所からの注意喚起」

なお、「雑損控除による所得税の減免」については、
「『諸支援制度の中から必要なものを選んで申告するのはあくまで被災者側であること』と『区役所の窓口では税務署という市役所外の担当機関がやることについて詳細に案内できる態勢がなかったこと』とに起因してのことでは」と推測しているのですが、
(被災当日から5か月が経過した)8月中旬の「り災証明」申請時に区役所から「所得税の減免対象になっていますよ」という注意喚起はまったくありませんでした。

届いた『難解な申告相談会のお知らせ』」へ

届いた「難解な申告相談会のお知らせ」

「所得税の還付・軽減対象者向け」と読み取れない文書が到着

一方で、(被災当日からほぼ8か月が経過した)11月上旬に税務署と区役所の連名で発送された「東日本大震災に係る申告相談会について」と題するお知らせ文書が税務署の封筒に入れられて通常郵便で届くということはあったのですが、
「指定した5日間の間に『(8つの)必要書類等』と『(分かる範囲で記入した)被災状況表』とを持って税務署内で行なう相談会に来てください」ということが書かれていても、
その時点では「『り災証明書取得者』は全員が所得税の減免対象になっている」ということを私自身が認識していないのですから、「行って空振りに終わっても」と考え、何の行動も取りませんでした。

「申告相談会に相談者が来ない」という異例の事態に

また、連名とはいえ税務署の封筒が使われていて「この文書による行政指導の責任者は」といった文言もありましたから「税務署内で作成されたもの」と推測されるこのお知らせ文書は、お役所が租税制度に詳しくない一般住民向けに送る文書としては不親切過ぎるものでしたし、
「『り災証明書取得者』は全員が所得税の減免対象になっている」という認識を人々に持ってもらうための努力がその時点で不足していたこととあいまって、
「申告相談会に相談者が来ない」という税務当局にとっては想定外の事態を引き起こすテコのような役割を果たすことにもなりました。

駅置きのビラを見て『国税庁HP』をチェック」へ

駅置きのビラを見て「国税庁HP」をチェック

そのため、当時の報道の中には「『減免の申請で税務署に行くと、いろいろ追及されて申告所得が実際よりも少なかったと判断され、納付した所得税の減免ではなく追徴申請になってしまうのでは』と心配している方が多いからでしょうか、と語った税務署員がいた」という趣旨のものがあったように記憶しているのですが、
り災証明書取得者数との比較であまりにも申告者が少ないところから懸命のPR作戦が展開されはじめ、その一環としてJR東日本の駅に置いてあった「被災された方へ『所得税の還付や軽減が受けられます』」というビラを偶然見たことで、
私も国税庁のサイトへアクセスして「東日本大震災により被害を受けられた個人の方へ」というページ群をチェックすることとなりました。

そして、「損失額の計算方法」などの説明を読んだのですが、読んだだけでは良く理解できず、数日間「還付金が私の場合に発生するものだろうか」と半信半疑の状態が続きました。

税務署相談窓口への電話で『該当者』と初認識」へ

税務署相談窓口への電話で「該当者」と初認識

その後、かなり迷った挙句「念のために」と仙台北税務署の相談窓口に電話で問い合わせたところ、
「損失額の計算方法」についてある程度理解できるレベルの解説を受けられ、
「まず間違いなく対象になりますから、『マンション購入時の売買契約書・建物地震保険金支払通知書・家財地震保険金支払通知書・り災証明書コピー・還付金振込先口座通帳・確定申告書の控え・印鑑』という伺ったお話から判断して必要となる書類などを用意して、可能な限り(待ち時間が短い)朝早い時間にいらしてください」という回答も得られて、
(「必要な書類」は「『申告相談会』についてのお知らせ文書」が届いた時点から捜し始め、すでに用意できていましたので)、
翌日の開庁時間の直後に税務署を訪ねました。

税務署訪問で『還付金額』が事実上決定」へ

税務署訪問で「還付金額」が事実上決定

すでに(被災当日からほぼ9か月が経過した)12月上旬になっていましたが税務署に行ってみると、持参した諸書類に基づいて(前日の「解説」をベースに試算した内容メモと全く同額の)「所得税の更正の請求書」と「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」を小一時間で作成してもらえ、
「1か月後の来年1月上旬に『審査を通った』というお知らせハガキが届き、遅くとも2月中旬までに還付金が振込先口座に振り込まれると思います」というお話をされ、
「これがお知らせ文書にあった『申告相談会』なのか、だったら『(私には手伝ってもらった経験がありませんでしたが)確定申告期間にやっているように更正請求書と損失額計算書の作成を手伝います』と書き添えてくれていたら良かったのに」と思わされました。

なお、このときの税務署員の方のお話とは幾分異なり、「所得税の更正通知書」は簡易書留で(被災当日から10か月半が経過した)1月下旬に届き、「還付金」は(被災当日からほぼ11か月が経過した)2月上旬に振込先口座に振り込まれました。