ネット調査が示した「都道府県民別の非常食備蓄」
もくじ
- 地元紙が独特のタッチの記事を掲載
- ウェザーニューズ社3回目の「減災調査」
- 「非常食はありますか?」への回答
- 「何日分用意していますか?」への回答
- 「調査結果ご一読」のお勧め
地元紙が独特のタッチの記事を掲載
ウェザーニューズ社が2015年の3月7日~11日にかけて行った「(有効回答者数=30,834人の)減災調査2015」についての記事が3日前(4月12日)の地元紙「河北新報」朝刊の第2社会面に、
「『非常食を備蓄』9割で宮城首位ー気象情報会社調査ー」という一段見出し付き400字といういわゆる「ベタ記事」扱いで、
掲載されました。
被災地の記者さんがまとめた文章とはとても思えない独特のタッチの記事だったところから、ウェザーニューズ社のサイトを直接訪ねてみると、
4週間前に公表されたレポートの中の「非常食備蓄」の部分を抜き出し要約した文章でしたので、
「被災体験はもちろん被災地訪問の機会もなかった共同通信の記者さんが取りまとめて配信してきた記事の一部を抜粋して掲載したためだろうか」と、いまは勝手に理解しています。
ウェザーニューズ社3回目の「減災調査」
ところで、この調査は、
ウェザーニューズ社が提供しているスマホ向けアプリなどのサービス利用者を対象にして「一人ひとりが減災に対する意識を高めて被害軽減に繋げられるよう(中略)全国の方の災害に対する意識、対策を調査」してきている中で、
2010年の9月1日~5日にかけて行った「(有効回答者数=9,800人の)減災調査2010」と、
2012年の8月18日~9月5日にかけて行った「(有効回答者数=19,628人の)減災調査2012」
とをフォローするために行なわれたもので、
今回の調査結果には、
(「有効回答者数が3万人を超えたことで都道府県別のデータを公表できるようになったから」と推理するのですけれども)、
「SNSへの投稿関連の質問」と「(『非常食はありますか?』と『非常食は何日分用意していますか?』という)非常食の保存・用意関連の質問」とについて都道府県別の順位表が加えられました。
「非常食はありますか?」への回答
このうち、「非常食はありますか?」という質問への回答は「水と食料(A)」「水のみ(B)」「食料のみ(C)」「ない(D)」からの選択なのですが、
- 「水と食料(A)」は全体合計が47%で、1位の宮城県が60%なのに46位の長崎県と島根県は22%という1対2.7の格差、
- 「水のみ(B)」は全体合計が18%で、1位の佐賀県が27%なのに47位の秋田県は8%という1対3.4の格差、
- 「食料のみ(C)」は全体合計が13%で、1位の秋田県と鳥取県が25%なのに46位の神奈川県と千葉県は9%という1対2.8の格差、
- 「ない(D)」は全体合計が22%で、1位の長崎県が48%なのに47位の宮城県は12%という1対4.0の格差
特に「『水と食料(A)』比率が全体合計より低い道府県と『ない(D)』比率が全体合計より高い道府県」の中には「南海トラフ地震が起きたときに大きな被害を受ける可能性」を指摘されているところがいくつも含まれていますので、
「どうか、お住いの地域社会の空気に染まらずに、気付かれた方から非常食の備蓄強化にご自身とご家族がこうむるダメージを小さくするためにお取り組みを」と思わずにいられませんでした。
「何日分用意していますか?」への回答
一方、「非常食は何日分用意していますか?」という質問への回答は「約3日分(E)」「約1日分(F)」「約1週間分(G)」「用意していない(H)」からの選択なのですが、
- 「約3日分(E)」は全体合計が43%で、1位の神奈川県が49%なのに47位の長崎県は19%という1対2.6の格差、
- 「約1日分(F)」は全体合計が15%で、1位の愛知県が20%なのに47位の長崎県は8%という1対2.5の格差、
- 「約1週間分(G)」は全体合計が14%で、1位の宮城県が25%なのに46位の富山県と佐賀県は6%という1対4.2の格差、
- 「用意していない(H)」は全体合計が28%で、1位の長崎県が60%なのに47位の宮城県は17%という1対3.5の格差
特に「『用意していない(H)』比率が全体合計より高い道府県」の中には「南海トラフ地震が起きたときに大きな被害を受ける可能性」を指摘されているところがいくつも含まれていますので、
この設問への回答ぶりに対しても「どうか、お住いの地域社会の空気に染まらずに、気付いた方から非常食の備蓄強化にご自身とご家族がこうむるダメージを小さくするためにお取り組みを」と思わずにいられませんでした。
「調査結果ご一読」のお勧め
なお、「『非常食はありますか?』という質問への『ない(D)』回答」の全体合計が22%で「『非常食は何日分用意していますか?』という質問への『用意していない(H)』回答」が28%と二つの質問への回答結果には1.3倍の開きがあるのですが、「減災調査2015」ではその点に触れていないので、エクセルを使って計算してみたところ47都道府県すべてについて「用意していない(H)」は「ない(D)」の1.1倍~1.5倍の間におさまりました。
また、「ない(D)」が全体合計(22%)以下だったのは、
「宮城県(12%)」「東京都(14%)」「神奈川県(15%)」「静岡県(15%)」「岩手県(16%)」「千葉県(16%)」「愛知県(17%)」「茨城県(17%)」「山梨県(18%)」「埼玉県(19%)」「三重県(20%)」「栃木県(21%)」「福島県(22%)」という、
1都12県だけでした。
東日本大震災で2度も震度6弱地震を体験し「起きていないことに備える」ことの難しさを身をもって理解させられた一人として、
3回にわたる「減災調査」の調査結果には分かりやすいグラフが付けられていますし、今回の調査結果の一部には都道府県別の順位表も加えられていますので、
「世間とご自身」「日本全体とお住いの都道府県」との間に差があるのかないのかを把握するためにも、
「減災調査2015」など、この一連の調査結果のご一読を強くお勧めするものです。
(投稿日:2015/04/15 更新日:2017/04/28)
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