「気象系災害」への備え方(その2)
また、二つ目の「自治体への働きかけ」は「お住いの自治体の災害対応力の向上」をめぐってのものですが、
「『島が非常に強い台風の進路上にある』という予報が気象庁から発表された翌日に遠隔地の島で開催される会合出席のために離島したところ(天皇皇后両陛下が後日お見舞いのご訪問をなされたレベルの)大災害が発生し、翌々日夕刻に自衛隊機で緊急帰島された町長さん」や
「近隣県での『私的なゴルフ会』に参加するため『大雨で県庁所在市に避難勧告が出されることになる日』の朝に予兆を無視してその都市を離れたところ、翌日開催の『大雨対策緊急会議』の終了時間までに県庁へ戻りきれず、しかも『ゴルフ会の参加者は知事+県庁現役部長2人+県庁OBたち=7人だった』という事実を伏せていたことまで明らかになってしまって謝罪会見を開いた県知事さん」など、
防災意識と危機管理能力に問題がある自治体の首長さんについては次の選挙で選び替えられてはいかが、という問題提起です。
「『防災意識と危機管理能力』の高い自治体トップ」の実例
「ハイエン」の上陸でタクロバン市に壊滅的な被害が発生
じつは、先に記した4年前のNスペ「スーパー台風 ”海の異変”の最悪シナリオ」で名古屋大学の坪木教授が加わられた直後の部分は
(東京大学の田島教授らの現地調査同行取材映像をバックにした)
「2013年11月にフィリピンのサマール島ギワン市に上陸した『2013年台風30号(ハイエン)』は、
ピーク時の中心気圧が895hPaで、最接近の1時間前で53m/sの最大瞬間風速が記録され、(その後フィリピン気象庁ギワン気象台屋上の離れた場所に置かれていた風速80m/sにも耐えられるはずの2基の観測レーダーが共にレーダードームごと吹き飛ばされたので観測記録は残されていないけれども)、『推定最大瞬間風速=90m/s』とみられている、スーパー台風だった。
そして、この風が過去に例のない高波に変じ、(日本での高潮は1~3mだが、急速に中心の気圧が下がり水面を上から押す力が下がって海水面が上昇することで起きる)高潮に加わったことで、海水が『津波並みの破壊力』を持つ9m以上の高波・高潮となって押し寄せ、サマール島に隣接するレイテ島の人口22万人都市・タクロバンに壊滅的な被害を与えた」
という趣旨のナレーションでした。
より被害度大のギワン市では「市長の指揮で『ほとんどの市民の命を守れた』」
が、ネット上にはテレビによく出演されている防災システム研究所の山村武彦所長が「2013年台風30号(ハイエン)」のフィリピン上陸1か月半後に現地で行われた調査レポート(リンク先:「2013年フィリピン台風30号災害 現地調査写真レポート その1『サマール島・ギワンの奇跡』」)がありますので読み進んでいくと、
「現地へ行ってみるとタクロバン市よりもギワン市の被害度合いが明らかに大きかった。が、『スーパー台風慣れ』で危機感の薄い市民たちに対して、ギワン市の市長さんが『(やって来るのは超スーパー台風だから)ハルマゲドンのような状況になる可能性があるので、シェルターへ避難を』と伝えたことで、奇跡的にほとんどすべての市民の命を守れたのだった」という趣旨のことを書いておられました。
「自治体トップの『選び替え』」の必要はないか?
「『江東デルタ地帯』などでの浸水・水没時の生活」はものすごく深刻なものに
これを首都圏で同じようなことが起きる場合に置き換えてみると、
徳川家康公が江戸を統治拠点にしてから東京湾に注ぎ込んでいた利根川の流れを変更して現在の姿にする工事が始まり、数百年かけて氾濫のない「江東デルタ地帯」の実現に至っていますが、強引な流路の付け替え箇所は上流から大量の水が流れ込んで来たときに「堤防の破壊」というかたちで「ハルマゲドンのような状況」を生み出す可能性がある上に、
長年にわたる地下水のくみ上げで「海抜ゼロメートル地点」は「海抜マイナス数メートル地点」に変化してしまっていますので、
都民生活を被災前のレベルまで回復させる際の難易度は「数十年前に台風水害が『江東デルタ地帯』で発生したとき」よりもさらに高まっているものと思われます。
また、ときどきテレビ番組の中に挿入される「東京都が2018年3月に公表した『高潮浸水想定区域図(リンク先:東京都<想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成>)』に基づいたCG映像」の中で「東京駅や銀座4丁目の交差点なども浸水・水没」という場面を見るたびに
「首都圏の方々は(『浸水が想定される区域内の人口=約395万人(昼間)、想定される最大の浸水の深さ=約10メートル、浸水が継続する時間=1週間以上』などと書かれている想定事態の深刻さを理解できずに)『こんなことが起きうるんだ』と軽い気持ちで見ておられているのだろうな」
と思わされています。
楽観できない「人口密集地での被災生活時の『インバウンド客との摩擦』」
が、「浸水・水没」の先には
(『東日本大震災』や『熊本地震』のときと違って、恐らく「『気性や生活習慣』が違い『被災時生活マナーについての情報提供』を母国で受けてきていない来日客」との間に「『閉鎖された空港からの退去拒否』の実力行使」などの前例から予測される「怖さをともなう摩擦」が数多く発生する中で、「北海道での数日間のブラックアウト」よりも格段に厳しい)「停電・断水・断ガス」と「物流ストップ・小売店閉店」と「犯罪の多発化」が一定期間続く社会で復旧作業を続ける日々が待っているものと想像されますから、
できることであれば次の地方統一選挙でお住いの自治体の首長さんを「防災意識と危機管理能力の高い方」に選び替えておかれることをお勧めします。
また、いまお住いの自治体の首長さんが「『限られた地域で発災した極めて深刻な自然災害についての国や県からの連絡を自治体職員が数時間放置した』とか『首長さん自身は参加していた宴会場から災害対策指示を電話で済ませてすぐ対策本部所在地に戻らかなった』などのかたちで『意識・能力面での欠陥』を顕在化させた前歴」を持つ方であったら、次の選挙を待つまでもなくリコール運動などをやって選び替えられることを強くお勧めしたいと考えています。