茨城県での防災対策の基本 | 南海トラフ地震

防災グッズのイメージ

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もくじ


可能な範囲でベストをお尽くしいただければ

東日本大震災の発生を踏まえて内閣府から2012年8月29日と2013年3月18日に公表された「『南海トラフ地震』についての被害想定(リンク先:内閣府防災情報のページ『南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ』)」の中で茨城県についてのこのような被害・避難想定値が公表されたのですから、国や茨城県庁はこれまでやってこなかったレベルの防災行政を展開し始めているのですが、
ご自身・ご家族レベルでの防災対策の基本は多くの防災関連資料・書籍が記しているように「一人一人がわが事として防災・減災に備えること」です。

「内閣府の被害予測にあるような事態が起きた時にはどうするか」「被災後の生活再建の日々が過酷なものとならないように今何をしておくべきか」といったことについて、可能な範囲でベストをお尽くしいただければ幸いと考えます。

県庁サイトの防災関連ページなどの閲覧をぜひ」へ

県庁サイトの防災関連ページなどの閲覧をぜひ

「『自助防災への導きの姿勢』が極度に弱いサイト」だけれど

茨城県庁サイトは、サイト内の「防災・危機管理情報ページ群」に関東地方1都6県の中でただ一つ「地震被害想定調査に基づく『市区町村別の被害予測データ』」を掲載していない、めずらしいサイトです。

この点については、鬼怒川が氾濫した「平成27年9月関東・東北豪雨」のおよそ1か月前(8月12日)に開催された「第1回茨城県国土強靭化地域計画有識者会議」に関するPDFファイル「意見概要」に
「茨城県は,エビデンスに基づく評価と対策を支える基本的な災害想定のデータベースが進んでいないので,この機会に整理してもらいたい。」
という委員のお一人の発言が書き留められていますので、茨城県庁トップの「防災と危機管理についての認識のゆるさ」が反映しているのかもしれません。

ところで、茨城県庁サイトの大分類「茨城で暮らす」内の中分類「防災」の下にある小分類「防災・危機管理情報」に置かれた細分類「茨城県地域防災計画」の下に列挙された記事・資料の一つであるPDFファイル「茨城県地域防災計画<資料編1/4 (H29.3改定) 表紙~3地震及び気象に係る基礎データ>」の138~142ページに書かれている「3-2 茨城県南関東直下地震被害想定調査の概要」を見ると、
(最新の科学的知見と予測手法に基づかないおよそ20年前の調査ということになりますけれども)、1992年度から1997年度にかけて実施された地震被害想定調査結果が
「茨城県に最も大きな被害をもたらすと予想される地震モデルはマグニチュード7.0の県南西部を震源とする直下型地震で、冬(2月)の平日の午後6時(=18時)頃に発生し、そのとき風速7.5m/sというやや強めの風が吹いていた場合、死者数は391人、(全壊建物棟数を含まない)焼失棟数だけで約1万1千棟、(避難所避難者数に疎開者数を加えた避難者総数なのだと思いますが)避難者数は約22万人」
という災害想定になっています。

また、茨城県庁サイトの大分類「茨城で暮らす」内の中分類「防災」の下にある小分類「防災・危機管理情報」に置かれた細分類「国土強靭化地域計画について」の下に列挙された記事・資料の一つである「第1回茨城県国土強靭化地域計画有識者会議」で使われたPDFファイル「資料1:茨城県国土強靭化地域計画の策定について」の中には、(内閣府が同格で扱っている「茨城・埼玉県境地震(M7.3)」についての想定値は引用されていませんけれども)、「内閣府の『首都直下地震の被害想定と対策について』」を出典とする
茨城県南部直下地震(M7.3)が起きると本県内で『震度6弱以上=32市町村』『死者数=約300人』『建物全壊棟数(火災含む)=約3万棟』」
という被害想定が書き込まれてもいます。

熊本県庁サイトにある「平成28年熊本地震に関する災害対策本部会議資料」内の「熊本地震等に係る被害状況について(第181報)」によると「10月4日現在で『死者数=120人』『住家全壊棟数=8,848棟』」とされていますから、「熊本群発地震の3倍の大被害が予測されているのに茨城県庁サイトは『茨城県南部直下地震への備え』についてなぜこの程度の軽い扱いなのだろう?」と不思議に思えてなりません。
加えて、「茨城県庁が設けている『防災・危機管理情報ページ群』内の諸ページについては『自助による防災への導きの姿勢』が極度に弱い」という問題点もあります。

辛い思いを避けるために必要な自助努力

茨城県民の方々は(県内での死者・行方不明者数が1万人以上という)宮城県ほどではないものの東日本大震災で大きな被害を受けておられるので「自助努力による防災対策の大切さを関東地方1都6県の中では最も強く認識されているはず」と思いますし、自治体業務の限界についても「平成27年9月関東・東北豪雨」でよくお分かりになられたことと思いますけれども、
「巨大災害発生時には国や茨城県庁がしかるべくやってくれる」という姿勢でいらしたら、「自力で危機から脱出し、被災後の困難が続く日々にできるだけ辛い思いをしないようにするための最善の手段は、自助努力による事前準備の積み重ねだったんだ」と、ご自身の体験を踏まえて、後日、きっと後悔されることでしょう。

不十分なところが残るとはいえ、茨城県庁サイト内の「防災・危機管理情報ページ群」にも地震・火山噴火・大雨・強風といった自然災害の発生にかかわる防災情報が掲載されていますし、そこからリンクが張られているジャンプ先外部サイトにはご参考になる記事・資料が存在しますので、お時間をおとりになれる方には興味を持たれた記事・資料についての閲覧を試みられることをお勧めいたします。

また、(いずれも「首都直下地震対策」を主要テーマとして作られているものですが)、東京都板橋区品川区渋谷区江戸川区という優れた4区役所サイトの防災ページ群内の「自助に役立ちそうな防災情報」に目を通され、それらを基にして関心を持たれた「自宅用と外出時用の防災グッズ」についてネットや店頭で調べて「巨大災害発生の日とそれに続く苦難の日々」に備えて用意しておくことなど、可能な範囲で必要な自助努力を積み重ねられることについても強くお勧めしたいと思います。

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