身をもって知った自主防災の大切さ

首都圏でのその他の地震

もくじ

相模トラフ沿いのM8クラス地震

なお、「首都圏の方々の生活に大きな影響を及ぼしそうなその他の地震」を見ていくと、
まず、2014年4月25日に文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)について」の5ページには次のように書かれていました(参照先図表名は省略)。

"相模トラフ沿いのM8クラスの地震については、以下の三つの手法により発生間隔を推定した。

(ⅰ)地形・地質データ(浜堤列、海岸段丘、津波堆積物)では約3000年の間に9回のM8クラスの地震の発生が確認されている。この間に地震の見落としがないと仮定し、発生間隔のばらつきを考慮して平均発生間隔を推定すると約390年となる。

(ⅱ)歴史記録から確認されるM8クラスの地震は、永仁関東地震(1293年)、元禄関東地震(1703年)、大正関東地震(1923年)が知られている。これらの地震の発生時期より、平均発生間隔は約320年と推定される。

(ⅲ)測地データから推定されるプレート間のひずみの蓄積速度と大正関東地震(1923年)の推定すべり量から、平均発生間隔を推定すると200~500年となる。

(ⅲ)で推定された平均発生間隔の幅の中に(ⅰ)、(ⅱ)の推定結果が含まれており、相互に大きな矛盾はない。

また、発生事実が明らかである3地震の実際の発生間隔は410年、220年とばらついている。次に発生する地震を評価する上で、発生間隔のばらつきは重要であり、これを地形・地質データから推定すると180~590年となる。

この発生間隔と最新活動(大正関東地震(1923年))からの経過時間90年を用いて、相模トラフ沿いのM8クラスの地震の今後30年以内の地震発生確率をほぼ0~5%、今後50年以内の地震発生確率をほぼ0~10%と推定した。

なお、房総半島南東沖の領域は、単独で地震が発生した痕跡は見つかっていないため、地震発生可能性の評価はできないが、その可能性自体を否定しているわけではない。"

首都圏での主な活断層地震」へ

首都圏での主な活断層地震

また、2015年4月24日に文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した「関東地域の活断層の長期評価(第一版)」には、
「綾瀬川断層の地震(2区間各々であればM7.0程度、連動するとM7.5程度、北西に位置する深谷断層帯とさらに連動するとM8.0程度、今後30年以内の発生確率は ほぼ0%~0.1%)」、
「立川断層帯の地震(M7.4程度、今後30年以内の発生確率は0.5%~2%)」、
「伊勢原断層の地震(M7.0程度、今後30年以内の発生確率は ほぼ0%~0.002%)」
など数多くの活断層地震についての長期評価が書き込まれています。

活断層地震の今後30年以内の発生確率は決して高いものではありませんが、2014年12月19日に文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した「全国地震動予測地図2014年版」の「本編の『4.手引き編』」の26ページには

「30年の間に一人の人が被害者・被災者になる確率は

『交通事故で負傷=24%』、

『空き巣ねらいの被害者=3.4%』、

『火災で罹災=1.9%』、

『ひったくりの被害者=1.2%』、

『すりの被害者=0.58%』、

『大雨で罹災=0.50%』、

『台風で罹災=0.48%』、

『火災で死傷=0.24%』、

『交通事故で死亡=0.20%』、

『台風で死傷=0.007%』、

『大雨で死傷=0.002%』、

『航空機事故で死亡=0.002%』

」と読み取れる「参考情報」が載せられているぐらいですから、
上に出てきた「発生確率=0.002%」は「極めて小さいけれども可能性あり」ととらえるべき性格の数字であろうと思います。

いわんや、「今後30年以内の発生確率は0.02%~8%」とされていた阪神淡路大震災(=兵庫県南部地震)が現実に発生しているのですから、「活断層地震にいつ遭遇してしまうか」「ことによると関東大震災級の地震に遭遇する可能性もある」という問題意識は常に持たれておられた方がよい、ということになります。