和田アキ子さんへの「印象操作」

カーテンコール

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「歌手・和田アキ子」から「マルチタレント」への変身

2017年12月3日の日曜日に情報バラエティ番組「アッコにおまかせ!」を久しぶりに見て、「これがネット上に『豊田真由子議員vs和田アキ子! 上司にしたくないのはどっち?』という記事などを書かれている暴言・暴行・パワハラの人と同一人物なのか」と幾分の不思議さを感じました。

というのも、実は新潟県内の工場に配属されていたときに東京都内でサークル同期生の結婚式があって新郎の友人たちのテーブルで隣席・隣々席の人たちと名刺の交換を始めたところ、
大学の教養課程キャンパスのすぐそばにあったところから立ち寄る機会も多かった個室形式の下宿屋さんで新郎と共同生活をしていた同期生の一人に「つい先日、新潟市へ行ったんだよ。(当時は井上陽水・RCサクセションを含む所属タレント16名の)ホリプロに入っていま和田アキ子のマネージャーをやってるんだけど、(『どしゃぶりの雨の中で』『笑って許して』『あの鐘を鳴らすのはあなた』など歌ったのに)出演料をなかなか支払ってもらえないものだから、そのお店に催促のお願いに」という話をされ、
それ以降、「和田アキ子さんの『歌手』から『マルチタレント』への変身」を陰ながら見守らせてもらうようになっていたからでした。

「越路吹雪さんのような歌手にも」という印象

時系列を追って振り返ってみると、まず、この結婚式での再会の1か月後、私の身には、
転勤休暇日数ゼロで急きょ東京都内の本社へ転勤を命じられ最高顧問兼代議士の政策担当秘書になったところから、
時折、ホリプロへ電話を入れさせてもらうようになるという変化が起きました。

すると、覚えているだけでも「今は山口百恵のマネージャーをしております」「今は片平なぎさのマネージャーをしております」「今は榊原郁恵のマネージャーをしております」と毎年担当するタレントが変わっていき、
ほぼ毎回「現在〇〇放送局に行っておりまして、戻り次第、電話を掛けさせます」というメッセージが続いた後、しばらくして本人から「ごめんなさい。遅くなって」という電話がかかってきていたのですが、
あるとき「和田アキ子が平日昼のテレビ番組にゲスト歌手として出演するんだけれど見に来ない」という招待電話をもらうということがありました。

そこで、「出演会場が職場からそう遠くないところ」ということもあったので行ってみると、
(いくつかの週刊誌が「大阪の元問題少女」と書いているのが「ウソでしょう」と思えるぐらい落ち着いた雰囲気を持った実力派歌手で)NHK紅白歌合戦の連続出場組なのに謙虚さも持ち合わせているところから、
「この人は(美空ひばりショーでの西村小楽天さんのような専属司会者を必要としない)越路吹雪さんのように司会者兼歌手で一部構成のショーを日生劇場などの大舞台でやれる歌手に育っていくのでは」という印象をそのときには抱かされました。

垣間見た和田アキ子さんの「心づかい」

ところが、まもなく「金曜10時!うわさのチャンネル!!」の放映が始まり、痛くはないのでしょうが叩くと痛そうに見える小道具を使ったりするものですから、今に至るマルチタレント・キャラクターが「ゴッド姉ちゃん」役を演じることで定着し始めました。

そして、この番組についても「テレビスタジオまで見に来ない」という招待電話をもらいましたけれども、当時は週休2日制でありませんでしたから金曜日の夜10時スタートの生放送番組をスタジオ見学したときの翌日の辛さを考えて見学を辞退し、
しばらくの間「生で見聞きした歌手・和田アキ子さん」と「テレビ放送でゴッド姉ちゃん役を演じているマルチタレント・和田アキ子さん」の虚実については考える材料もないままで過ごしていました。

が、会社に同期で入社した一人から「(ホリプロ所属ではない)あるタレントさんのサイン入り色紙が欲しい」という話を聞かされたことから電話で問い合わせてみると、
「プロダクションが違ってもマネージャー同士の交流があるからたぶん大丈夫」という一次回答があり、
「『依頼主名まで書き込んでもらった色紙』を入手したので、事務スタッフに預けておくから、会社に取りに来て」という二次回答がありました。

そこで、数日後に、恵比寿駅から少し歩いたところにある当時のホリプロダクションを訪ねたのですが、無人の受付に事務スタッフの人に出て来てもらって「色紙の入った封筒」が捜しだされるのを待っていると、
「お菓子の入った箱」のように見えたものを持った男性が私の脇をすり抜けるようなかたちで受付パネル裏の事務スペースと思われるところに入るや否や、大きな声で「和田さんからの差し入れです」と言い、即座に「和田さんて誰」と聞く人がいて、「アッコさんです」という答えを得ると、「あー」と納得して一連のやり取りが終る
という興味深い場面に遭遇しました。

恐らく、(1)受付に見知らぬ客人がいるので何かしらの問題が起きないように「和田さんからの」と言ってみたら普段使わない言い方なので社内的には通用しなかった、(2)事務スタッフの皆さんは「和田アキ子さんからの差し入れ」はよくあることなのですぐ納得した、ということだと推理したのですが、
テレビ局のプロデューサーや周りに〇〇ファミリーと呼ばれる人たちがいる芸能人の中に「その人が『心づかい』のできる側面も持っていることで強い求心力が働いている」という実例をいくつか耳にしていましたので、「そういったケースの一つなのかな」ともこのとき思いました。

より一層愛される「マルチタレント」に

それからしばらくして、東京都内で生活されている方ならどなたも知っている(高級食材を扱う有名スーパーではない)一般的なスーパーで、
お客様の少ない昼の時間帯にひときわ背の高い女性が視野に入ってきたので視線を停めて凝視したところ、
普段着姿で変装度ゼロだけれどもなぜかヒールの高い靴を履いた和田アキ子さんの姿がありました。

ほどなくして、ホテルニューオータニ東側沿いの道路にある(私もよく知っている)横断歩道を渡っているときに和田アキ子さんは車にはねられて骨折・入院されていますので、「考え事をしていると周りへの注意力が落ちる」とか「気を付けていてもネット上で話題になるような発言をしてしまう」といった気質を持ち合わせておられるのかもしれませんが、
1週間前の「アッコにおまかせ!」を見た限りでは、(たまたまこの回がそうだっただけなのかも知れませんけれども)、「偉そうに」とか「勝手に芸能界のご意見番を自負してるの」というよく指摘されている悪い印象を受けませんでした。

晩年の淡谷のり子さんがテレビで痛烈に出演者を批判していた場面はテレビの音声を消したくなるぐらい凄いものでしたので先週の放映内容についてはホッとさせられましたが、
「年齢を重ねたりそのことで叱ってくれる人を失ったりして人格が変わってしまった」といわれる人は世の中にたくさんいるわけですし、ネット上には和田アキ子さん自身が「叱ってくれる人を失ってしまったので」と発言しているという記事が載せられているぐらいですから、
自重自戒の心とスタッフからの助言を取り込む番組開始前の予習で補強して、より一層愛されるマルチタレントになっていただけると良いな、と思っています。

(投稿日:2017/12/08  更新日:2020/06/05)

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