大別すると3タイプに
「巨大災害で被災すれば『停電・断水・断ガスの生活』に移行する」と多くの皆さんが覚悟されているものと思いますけれども、
「大きな余震の続いている状況下で、『停電・断水・断ガスの生活を転倒・散乱・破損した家財の中で継続していかなければならないこと』についてはあまり認識されていないのではないか」と懸念しています。
というのも、
①「停電」は各家庭までの配電ネットワークに関係するケーブルや機器の安全が確認できれば終了、
②「断水」についても上下水道ネットワークが正常に機能することが確認できれば終了、
③「断ガス」についても(小隊・中隊単位でガス漏れのない地域=面をつくりながら広げていきますので時間はかかりますが)都市ガス供給ネットワークを修復し戸別に契約者を立ち合わせての動作確認を済ませられれば終了
といった順番で恐らく事態は改善していきますが、
家財の転倒・散乱で炊飯ジャー・トースター・電子レンジなど普段使っている調理器具が壊れたら、(店頭在庫品が残っているはずはないでしょうし、宅急便も止まるためにネット通販ですぐに入手できるとも思えませんし)、「食材の備蓄はあっても加熱を要する食事は作れない」ということになってしまうので
「バックアップ用の『非常用コンロとその燃料』の備蓄」もまた必要になってくるからです。
ということで、「東日本大震災のときに『2日半の停電と断水』と『4週間の都市ガス供給ストップ』とを体験させられた一被災者」の視点で、アマゾンのサイトに掲示されている「カセットコンロ」と「携帯コンロ」の中から、「非常時用コンロ」になりうるものを捜してみました。
結果、17の商品に100件以上のカスタマーレビューが付いていましたけれども、これらは
「停電・断ガス時に屋内で使える商品(5点)」、
「停電・断ガス時に庭・ベランダで使える商品(7点)」、
「停電終了時から使える電気商品(5点)」
に大別できることが分かりました。
停電・断ガス時に屋内で使える商品
また、「(すべてがイワタニ製品でしたけれども)停電・断ガス時に屋内で使える商品」のうち、
3点ある「カセットコンロ(A)」は、価格が1個2,118円~3,880円、重さが約1.0kg~約1.4kg、サイズが幅24.3~33.8cm×奥行19.1~27.3cm×高さ8.4~9.5cm、最大発熱量が1.74~3.3kW(1500~2800kcal/h)、ガス消費量が130~236g/hで、カスタマーレビュー数の合計は1,046件、
1点ある「カセットガス式 たこ焼器(B)」は、価格が1個5,480円、重さが約2.3kg、サイズが幅39.5cm×奥行19.8cm×高さ12.8cm、最大発熱量が1.9kW(1600kcal/h)、ガス消費量が136g/hで、カスタマーレビュー数の合計は514件、
1点ある「カセットガス式 網焼き・串焼き専用器(C)」は、価格が1個5,980円、重さが約2.2kg、サイズが幅39.5cm×奥行19.8cm×高さ11.7cm、最大発熱量が2.3kW(2000kcal/h)、ガス消費量が169g/hで、カスタマーレビュー数の合計は481件、
ですので、「停電・断ガス時に屋内で使える商品(=A+B+C)」の総カスタマーレビュー数は2,041件ということも分かりました。
なお、「カセットガス式 網焼き・串焼き専用器(C)」については、
「(『良い製品ですが』と記した上で)屋内で換気扇最大で使用しましたが、室内に煙が充満してかなりつらいものがありました。基本的には屋外で使用するものと考えた方が良さそうです。」に代表される「屋外用品では?」と指摘するカスタマーレビューがかなりありましたが、
「被災直後に品質が劣化する前の(パンやお肉や野菜などの)食品を冷蔵庫・冷凍庫内から取り出して網の上に置き加熱して食する程度であれば『煙の充満』には至らないのでは」と考え、(もちろん広域停電中に火災警報器が鳴りだすことも無いわけですし)、「停電・断ガス時に屋内で使える商品」のグループ内に入れました。
停電・断ガス時に庭・ベランダで使える商品
一方、「停電・断ガス時に庭・ベランダで使える商品」のうち、
5点ある「カセットガス式 バーナーコンロ(D)」は、価格が1個2,980円~6,151円、本体の重さが約265g~640g、サイズが幅12.5~19.0cm×奥行12.5~17.6cm×高さ8.2~12.7cm(収納時サイズは幅8.2~16.0cm×奥行6.8~10.5cm×高さ6.5~11.4cm)、最大発熱量が2.7~3.7kW(2300~3200kcal/h)、ガス消費量が190~225g/h(2商品については不明)で、カスタマーレビュー数の合計は866件、
1点ある「カセットガス式 ストーブ兼コンロ(E)」は、価格が1個3,580円、重さが約2.3kg、サイズが幅29.0cm×奥行20.0cm×高さ27.0cm、最大発熱量が1.3kW(「火力はコーヒーやカップヌードル等の簡易な湯沸し程度」との商品説明あり)で、カスタマーレビュー数の合計は183件、
1点ある「木の枝や薪を燃料とするストーブ兼コンロ(F)」は、価格が1個8,200円、重さが255g、サイズが幅14.5cm×高さ10.8cmの円筒形、最大発熱量は不記(「燃料を気にすることなく調理が出来るので災害時にも活躍します。」との商品説明あり)で、カスタマーレビュー数の合計は124件、
ですので、「停電・断ガス時に庭・ベランダで使える商品(=D+E+F)」の総カスタマーレビュー数は1,173件ということも分かりました。
停電終了時から使える電気商品
さらに、「停電終了時から使える電気商品」のうち、
2点ある「IH調理器(G)」は、価格が1個3,672円~8,879円、重さが2.1kg~約2.5kg、サイズが幅24.0~30.4cm×奥行28.5~34.5cm×高さ5.4~6.5cm、最大消費電力が1,000W~1,400Wで、カスタマーレビュー数の合計は338件、
1点ある「電気コンロ(H)」は、価格が1個2,218円、重さが1.3kg、サイズが幅29.0cm×奥行22.0cm×高さ8.5cm、最大消費電力が600Wで、カスタマーレビュー数は125件、
1点ある「電気グリルなべ(I)」は、価格が1個3,890円、重さが3.4kg、サイズが幅30.1cm×奥行30.1cm×高さ18.0cm、最大消費電力が1,000Wで、カスタマーレビュー数は158件、
1点ある「電気式 網焼き・串焼き専用器(J)」は、価格が1個2,550円、重さが0.7kg、サイズが幅15.0cm×奥行22.5cm×高さ10.5cm、最大消費電力が650Wで、カスタマーレビュー数は110件、
ですので、「停電終了時から使える電気商品(=G+H+I+J)」の総カスタマーレビュー数は731件ということも分かりました。
「非常用コンロと燃料との備蓄」のお勧め
東日本大震災のときのことを振り返ってみると、「『個人レベルの被災状況』のページ群」内の「ライフラインの崩壊」の諸ページで触れたような様々なことがあったわけですが、最も強く反省させられたのは「カセットコンロとカセットボンベの備蓄」をしていなかったことでした。
結果的には「家具の固定化」と「水と食料の備蓄」にも助けられて物質的な面では比較的順調に「日常生活」に戻れましたけれども、
仮にスーパーや家電量販店が長期間閉店し宅急便も休止している環境下で「(転落破損した『炊飯ジャー』と同じように)『トースター』と『電子レンジ』が壊れていたら展開はどう違ったのだろう」と、思い返す度にぞっとしています。
いずれにしても、「『電気式であれガス式であれ普段使われている調理器が地震などで壊れてしまったり、それらへの燃料の供給がストップするという事態』は起き得ること」という認識と「そうなったときには商品や燃料の入手がまず不可能になる」という認識を持たれて、
バックアップ用の「非常用コンロとその燃料」を、転落して破損しないようなところに、備蓄品の一つとしてご自身の置かれている状況や持たれている関心事項などに応じて用意されておかれることを、強くお勧めいたします。
(投稿日:2015/04/21 更新日:2020/06/28)
なお、食材の供給が途絶えた状況下では「非常用コンロと燃料との備蓄」に加えて常温保存品や冷蔵庫・冷凍庫内にある食品の量の多少が生活の質の切り下げ具合に大きく影響してきます。
私のところではクーラーボックス(内容積=約26リットル)を普段は「携帯用ではない防災グッズ」の収納容器として保持しており、
停電・断水・断ガス時には「冷蔵庫・冷凍庫内にある食品」をできるだけ長時間保冷するため(「製氷皿を使わず、保存冷凍食品量を抑制する」という代償を払いつつ)2個の「氷点下保冷パック」と90個の「一般保冷剤」を8年間冷凍庫の中に置き続けています。
「在宅避難」などが強く勧められているコロナ禍の現状からすれば「被災者化されたときの安心感が相当変わってくるはずですので、可能な方は『食材の備蓄』についてもできるだけのご配慮を」と付記させていただきます。