Nスぺ「いのちの防災地図」と備蓄の重要性

被災3県で3月14日に買い求められた商品

被災3県で3月14日に買い求められた商品

ビッグデータ活用の好番組

2015年3月10日の夜に放映されたNHKスペシャル「震災BIGDATA4 いのちの防災地図 ~巨大災害から生き延びるために~ 」は、
「前半の『貨物トラックとタンクローリーの走行記録分析』、後半の『スーパーやドラッグストアでの販売記録分析』」などによって、
「新たな防災地図づくりの研究が進められている」
ということを紹介する、好番組でした。

前半で『物流』後半で『消費行動』を分析」へ

前半で「物流」後半で「消費行動」を分析

このうち、前半の「貨物トラックとタンクローリーの走行記録分析」については「道路の寸断深刻な燃料不足で十分に支援物資を届けられなかった」という予想通りの結論に達するのですが、食糧・飲み水・医薬品が避難所に届かなかったときに苦しむのは重度の被災地域にお住いの方々なのですから、
「潜在的な被災者である視聴者の皆さんは、巨大災害が発生する前に、もっと政治家や中央官庁と自治体の行政官に働きかけておく必要があるのですよ」
とNHKの制作者に語りかけられているような印象を受けました。

一方、後半の「スーパーやドラッグストアでの販売記録分析」については「このグラフは4年前(2011年)の3月1日から31日をX軸、全国のスーパーやドラッグストアで売れた量をY軸(通常の2倍以上売れた商品は赤で表示)、440万種の商品を1,000項目に分けてZ軸に表示」という趣旨の説明があった上で、「巨大地震の日を境に437項目の商品が一気に買い求められていました」というコメントが付けられましたので、
「だから常日頃からの個人備蓄が重要なのですよ」
と警告されたような印象を受けました。

上位には『火を使わず保存のきく食品群』が」へ

上位には「火を使わず保存のきく食品群」が

なお、添付した写真は「被災から3日後にあたる2011年3月14日(月曜日)に岩手・宮城・福島という『被災3県で通常より売れた商品』を倍率順に並べたグラフ」なのですが、
上位は火を使わず保存のきく食品群で、断トツの1位は通常の8倍以上になっている「インスタントカレー」、
2~4位は「マグロ・カツオ缶詰」「調理済みシチュー」「インスタントシチュー」、
少し倍率が下がって5~9位は「その他海藻類」「乾めん」「野菜缶詰」「畜産缶詰」「マカロニ」でした。

また、さらに倍率が下がりほぼ同じ倍率に見える10~20位は「天ぷら粉」「その他農産乾物」「小麦粉」「果実・デザート缶詰」「醤油」「包装もち」「マヨネーズ」「味噌」「ローソク」「昆布」「食塩」、
22~26位は「レンジ専用食品」「ソース」「有線通信機器用部品・付属品」「サラダ油・天ぷら油」「ケチャップ」、
28~32位は「育児用ミルク」「ソースミックス」「中華料理の素」「オリーブ油」「わかめ」、
34~37位は「スキムミルク」「シリアル類」「風味調味料」「その他調味料」でしたけれども、
画面の動きは21位の「お茶漬けの素」・27位の「のり」・33位の「ふりかけ」で各々止まって
「少しでも食が進むようにと買われていたとみられます」
というナレーションが付けられていました。

『個人宅での適正在庫量の保持』がやはり大切」へ

「個人宅での適正在庫量の保持」がやはり大切

37位までに「お米」が出てこないということは「多くのお宅で『お米』を無意識に備蓄していて、『給水車からのものを含む水』・『電気』・『ガス』の供給が再開されれば『ご飯』や『おにぎり』を作れる態勢はできている」ということを意味しますので、
「給水車が出動するまでの断水・停電・断ガス状態期間中に消費する水と食糧(=狭い意味での防災用非常食)」を備蓄しておくことと、
「スーパー・コンビニ・ドラッグストアなどの店頭でいつも当然のように買えていた商品」が、(被災直後に通常の何倍も売れた後、買い溜めが全国的に起きたり物流ルートが痛んで商品を求められるレベルまで補充できなくなるなどして)、場合によっては数週間も店頭から姿を消してしまうときに対応できるだけの在庫量を、消費期間・賞味期間を意識しながら個人宅で保持しておくこと、
の大切さをこの番組から教えてもらえました。

追記事項

(投稿日:2015/03/11  更新日:2020/07/04)

なお、「ステイホームの呼びかけ」の直後に店頭から姿を消したりいまも欠品気味になっている商品もありますから「個人宅で保持しておくことが望ましい商品群」は9年前と幾分異なってくるはずですが、
「新型コロナウィルスの感染拡大」を避けつつ「毎年発生するようになった自然災害」に備える上では「分散避難・在宅避難の準備態勢の整備」を個人的に進めておく必要性は高まってきておりますから、
可能な範囲で「被災時に店頭から姿を消してしまいそうな商品の適正在庫量の家庭内保持」についても心配りをなされておいた方がよろしいのではないかと思えますことを付記させていただきます。