「防寒保温シート」の選び方と使い方

防寒保温シートの一例

防寒保温シートの一例

大別すると3タイプに

以前、JR東京駅丸の内側地下通路で実施中の防災訓練を垣間見る機会がありました。
「訓練」ですから(一般に行われている火災避難訓練の多くがそうであるように)緊迫した雰囲気はまったくなく、
「配給されたいわゆる『サバイバルシート』と『ペットボトル飲料水』を一個づつ持った、『避難者』と書かれたゼッケンを身に着けた各企業・組織から動員されたように思える人々が、リーダー役の誘導に従って『地下道でつながっている近隣の避難空間』に移動中の光景だったもの」と推測していますが、
この訓練をしばらく見ていて、「皆さん、『訓練中』や『職場内で勤務中』ではなく、身近に『サバイバルシート』や『ペットボトル飲料水』や『携帯用非常食』などもなくて、『自助努力で危機を乗り越えるしか採るべき道はない』という状況下に身を置かれる可能性をどの程度意識されているのかな」と空恐ろしく思えたことを今でも鮮やかに覚えています。

とりわけ、コンビニや避難所内に居場所を確保できずに屋外で一夜を過ごすことになったり、避難所内に身を置く空間を確保できても自治体が備蓄していた毛布枚数が避難者数比で不足していた場合に、「健康を一層害さないようにするためのツールを用意しているか否か」の差は生死に直結することですので、「緊迫感のない防災訓練」の現場に遭遇して、「自助努力の必要性についての認識の有無」について大変心配になりました。

そのようなことがあったところから、「夜明け前の意外な寒さを考えるとほぼ1年中役に立つ」などといわれる「防寒保温シート」について、
アマゾンのサイトに掲示されている「防寒保温シート」「サバイバルシート」「エマージェンシーブランケット」を調べてみたところ、
「10件以上のカスタマーレビューが付いているのは13の商品だけ」という少なさでしたけれども、
被災直後から防寒保温のために身にまとえる商品」、
簡易寝袋」、
避難所で毛布代わりに使える商品
という3タイプに大別できることが分かりました。

被災直後から防寒保温のために身にまとえる商品」へ

被災直後から防寒保温のために身にまとえる商品

また、「被災直後から防寒保温のために身にまとえる商品」のうち、

6点ある「アルミ蒸着ポリエステル素材製品(A)」は、価格が1個100円~540円、重さが50g~55g、サイズが210~213cm×130~142cm(使用前サイズは8cm×6cm×2cm程度)で、カスタマーレビュー数の合計は373件、

2点ある「ポリエチレンをベースとした製品(B)」は価格が1個632円~842円、重さが70g~91g、サイズが213~244cm×142~152cmで、カスタマーレビュー数の合計は70件で、

前者の「アルミ蒸着ポリエステル素材製品(A)」については、「一度開くと元の状態には戻せません」といった製品説明が付けられており、
後者の「ポリエチレンをベースとした製品(B)」については「他社製のブランケットと違い、しなやかでガサガサ感がありません。繰り返しの使用が可能」といった説明が付けられている、

ということも分かりました。

簡易寝袋」へ

簡易寝袋

一方、2点あった「簡易寝袋」は、「ポリエチレンをベースとした製品(B)」を寝袋状にしたものなどですが、
価格が1個2,818円~5,550円、重さが108g~241g、サイズが213cm×90~91cmで、
カスタマーレビュー数の合計は38件でした。

避難所で毛布代わりに使える商品」へ

避難所で毛布代わりに使える商品

さらに、3点あった「避難所で毛布代わりに使える商品」は、アルミやポリエステルなどを使った防寒・防水用のシートなのですけれども、
価格が1個449円~3,713円、重さが125g~240g、サイズが170~250cm×107~145cmで、
カスタマーレビュー数の合計は135件でした。

『防寒保温ツールの用意』のお勧め」へ

「防寒保温ツールの用意」のお勧め

ところで、東日本大震災が発生した9年前(2011年)の3月11日の仙台市の最高気温は6.2℃で最低気温はマイナス2.5℃でしたし、阪神淡路大震災が発生した25年前(1995年)の1月17日の神戸市の最高気温は8.0℃で最低気温は1.4℃でしたけれども、
このような寒さの中で停電と断ガスによって暖房器具が機能しなくなり室温も低下していくときに少しでも防寒保温に役立つツールを用意しておくことは、(被災後は食糧の入手も一段と困難になるでしょうから)いわゆる「在宅避難」であっても、体力の損失をできるだけ少なくするために極めて大切なことだと思います。

また、個人的には何年か前の6月中旬の暖かい日にある案件をめぐって翌朝まで「屋外を含みうる先着順受付の行列」に並ばなければならなかったことがあり、「万一に備えて」と考えてカーデガンやアルミ蒸着ポリエステル素材の防寒保温シートを持参したところ「(幸い建物内での行列で済みましたが、それでも)明け方には寒さ対策のために両者を共に使用することになった」という体験をしていますので、
防寒保温ツールの用意は(真夏のような特別の期間は別でしょうが)四季を問わずに必要なことだとも考えます。

アルミ蒸着ポリエステル素材の防寒保温シート」はシートの一部が触れる度にガサガサ音を発しますので常時携帯品として用意し、
避難所などで過ごされる際には(私はアウトドアグッズのシュラフ=寝袋を持参するつもりでおりますが)その他の防寒保温ツールや持参の毛布を使用されるのが現実的な対応策なのかもしれません。

いずれにしても、(被災直後に店頭で買い求められる可能性はほぼゼロの商品のように思えますので)、
常時携帯品と非常持ち出し品の一つとして、ご自身の置かれている状況や持たれている関心事項などに応じて、防寒保温ツールを用意されておかれることを、お勧めいたします。

追記事項

(投稿日:2015/03/19  更新日:2020/06/19)

なお、数日前(2020年6月中旬)にいわゆる「アベノマスク」のポストへの投函がやっとありましたけれども、「大きな自然災害の被災者になられたときには『自治体などの備蓄品』だけでは準備量不足で配布を受けられませんよ」と「防寒保温ツールなどの自主備蓄」について注意喚起をしてもらえたように思っています。
「防寒保温ツールも平時のうちに最低限数を入手されておかれた方がより安心です」と付記をさせていただきます。