もし覆面パトカーに「あおり行為」をしてしまったら

ビルの上から見た交差点

ビルの上から見た交差点

覆面パトカー体験乗車中に見聞きしたこと

2017年11月6日のTBS系列の番組「ひるおび」で取り上げられていた「トランプ米国大統領来日時の車列(約30台)」に含まれる日本側の警備車両を見ているうちに、以前、覆面パトカー体験乗車中に「あおり運転行為」の対象となったときのことを思い出してしまいました。

「ほとんどの運転者の方は『あおり運転行為』をなさらないし、最近報じられた東名高速道での凄惨な事件を踏まえて自衛のためにドライブレコーダーの購入を検討されるなどしている」と信じていますが、
「目的地まで急いで行かなければならない」などの心理的な余裕の無さからたまたま「あおり運転行為」をやったところ、相手が公務執行中の警察官であったり組織暴力団体員の中でも凶暴なタイプの構成員だったりした場合には自らを危険にさらすことになりかねませんので、注意喚起を目的として当日のことを書き残しておこうと思います。

発生現場は都心部の大きな交差点

この時の状況を簡単にとりまとめると、まず警視庁本部に所属する3名の警察官の方たちとの打ち合わせ会が桜田門からそう離れていない本部外某所でセットされていて、3名の方々は黒塗りセダンタイプの警察車両に相乗りして会場に到着をされましたが、その中で最も若い方だけは「事件が突発したものですから」と言い残して中途退席をされていました。

そして、打ち合わせ会が終ったところで最上位の方から、(「覆面パトカーに体験乗車すれば警察活動への理解が深まるだろう」と考えられてのことと思っているのですが)、「私は本部へ直帰しますけれども、次の行き先地まで私たちが乗ってきた車を利用してください」というお申し出を受けたので、
私も「今いる場所と行き先地との往復所要時間は15分ぐらいだろうから許されることでしょう」と判断して申し出をお受けし、
スーツ姿の中間管理職警察官の方が運転される車の後部座席に座らせていただいて行き先地に向かって移動を始めました。

そして、行き先地に向かって道なりに走行してもらった結果、「ここで左折すればあとは直進のみ」というある交差点に差し掛かったところで、警察官の方は信号待ちの車が1台もいない直進レーンと右折レーンのうち直進レーンに入られたので、
「このレーンは直進レーンですからそのまま進んで200メートル先の狭い道に左折して入り、突当りに見えてくる広い道を左折して次の交差点で右折し、いま目の前にある広い道に戻られては」と意見具申をしたところ、
(背景には「警視庁本部勤務時は所轄署にいる時と比べて負荷がかかっているから、5分程度でも時間をロスらずに、早く本部駐車場に戻りたい」というお気持ちがあったものと推測しているのですが)、「いえ、横断中の歩行者もいませんし、この交差点の左折レーンの横断歩道越しのところまで車を移動させて信号が青になるのを待ちましょう。この車は、道路が渋滞しているときには、犯人逮捕のために歩道を走行することもありますから、左折レーンで信号待ちをしている車との間に何か起きても大丈夫です」という趣旨の発言があって、警察車両をその位置まで動かされました。

信号待ちの車は警笛音を鳴り響かせたけれども

すると、「自分の進路をふさぐようなかたちで会釈もせずに右後方から進み出てきた乗用車は赤色灯と拡声器などを搭載している覆面パトカーで、運転席にいるスーツ姿の男性は警察手帳を携帯した公務執行中の警察官」と知らない左折レーンの車の運転手さんは、「どけどけ」という意思表示なのでしょうけれども、激しくクラクションを鳴らし始めました。

ほどなく信号が青に変わったので2台の車の間の緊張関係は終わりましたが、左折レーンの車の運転手さんはもう少しクラクションを鳴らし続けたらきっと回転する赤色灯が前方の車の屋根の上に突然置かれてドッキリさせられたでしょうし、
抗議のために自分の車から走り寄って普通の乗用車にしか見えない警察車両の窓ガラスをたたいたりしたら、警察無線で連絡を受けた所轄署のパトカーの中で最も近くにいる車が30秒とか1分後にやってきて、引継ぎを受けた所轄署員の方たちから(警察署まで同行を求めらて)「後続車への進路妨害」で注意を受けるか交通違反キップを切られることになっていた可能性も排除できないところです。

「自助努力」でなされたらよいこと

それでも覆面パトカー相手であれば上のような範囲で済みそうですが、口実さえあれば暴力を振るいたいとか金品をせしめたいという人たちを相手にしたときには後処理が大変ですから、相手を分かっていない中での「あおり運転行為」については思いとどまるべきでしょう。

また、「『あおり運転行為』の対象とされたのでスピードを上げたら速度違反で検挙された」ということにならないように、そういった状況下では路肩に車を停めて追い抜きたい車を先に行かせる習慣を身に着けられるべきでしょう。

さらには、「あおり運転行為」を繰り返す普通でない運転者と遭遇したときに備えて、2012年から普及が始まったドライブレコーダーで録画を取り、同乗者がいらっしゃるときには「いつでも『110番』に連絡してもらうための手順を共有しておく」といった心構えの部分での用意も可能な範囲であらかじめやっておくべきでしょう。

対策が功を奏しはじめて「交通事故によって亡くなられた方」が1970年(昭和45年)の年間1万6千人超をピークに減り始めたことを確認できたときには「政治と行政が動くとこういった成果を上げられるのだ」と本当にうれしく思ったことを今でも思い出しますが、
「自助努力」は(防災対策に限らず)政治と行政の取り組みの足りないところを補うという重要な役回りを果たします。
お一人お一人によってやれることが違うのは当然ですが、可能な範囲で日々意識して行動していかれることを心より願っています。

(投稿日:2017/11/11  更新日:2020/06/05)

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