ガソリン不足 | 被災状況

ガソリンスタンドに並ぶ車の列

ガソリンスタンドに並ぶ車の列[写真提供:仙台市]

もくじ

  • 会社内の場合
  • 自宅内の場合
    • 被災から15日目にガソリンスタンドへ
    • 「非常用トイレは車載必需品」と認識も
    • 復旧・復興にあたる方々に感謝の念


会社内の場合

ガソリン不足(リンク先:東洋大学学術情報リポジトリ「(小嶌正稔教授による)東日本大震災における石油流通」)も深刻な問題でした。

会社では、「ガソリン不足で行けません」では済まない災害応急対策に当たられているお客様のために、
3月13日(被災から3日目、日曜日)に社有車数台分のタンク内にあるガソリンを手動ポンプで汲み上げて1車両のタンクに集めるやり方で長距離走行が可能な車を3台確保し、
3月14日(被災から4日目、月曜日)からは「20リットル、3000円」で販売している数少ないガソリンスタンドの給油待ち車列に長時間並ぶことでガソリンを補い、走行できる車を確保し続けていきました。

が、それに先立って、所轄署に「緊急通行車両確認標章の交付」を求めたところ、
(後に、津波被災地域の公的機関から「感謝状」をいただきましたから会社側による申請は間違っていなかったと確信しているのですけれども)、
出向いた男性社員が「警察車両のガソリン確保すらままならないのにふざけたことを言いに来るな」に類した恐怖を感じるほどの厳しい対応をされたために、このようなことになってしまいました。

「東日本大震災における警察活動」についてはほとんどすべての仙台市民が感謝していますし私もその一人なのですが、
警察庁サイトにあるPDFファイル「平成23年回顧と展望『東日本大震災と警察』」内の「第5章 震災の教訓を踏まえた今後の取組<1 東日本大震災における警察活動の検証>」のページには、
「最前線にいる警察官が、与えられた裁量権をもとに上司と十分相談することもなく、民間企業が担っている個別の事情を調べたり聞いたりもしないで、ジャッジしたことで『公的機関による被災地の人々の生活の安全維持活動』をそこなった」という窓口業務をめぐって生じた非常時におけるこういった事例についても反省材料として書き加えておいていただきたかった、と今でも残念に思っています。

自宅内の場合」へ

自宅内の場合

被災から15日目にガソリンスタンドへ

一方、個人レベルでは、マイカーのタンク内に被災当日ガソリンが半分強入っていましたので、
新聞報道では「在庫切れで閉店したガソリンスタンド前の給油待ちの行列の中にカギをかけて自分の車を置き、自宅で仮眠をとり、早朝に車列にもどって開店を待つ消費者も」的なものもありましたが、
「車を離れているときに大余震が起きてマイカーが火災の燃料供給源になる可能性」も十分考えられたところから、
できるだけ消費量を減らす努力をすることによってガソリンスタンド訪問日を遅らせる道を選ぶこととしました。

そして、まだタンク内には四分の一程度のガソリンが残っていましたが、安全をみて3月25日(被災から15日目、金曜日)に、
「2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震」のページで触れている「今はソチオリンピック金メダリストの羽生結弦選手の練習拠点としてすっかり有名になった『 アイスリンク仙台』から東へ1kmのところにあるいつも使っているガソリンスタンド」は地下のオイルタンクそのものが壊れて再建設されるまで長期休業となってしまいましたので、
私的利用が公認されていた会社のパソコンを使ってネットで調べて開店していることを確認できた何回か使用経験のあるガソリンスタンドに、2時間並んで給油を受けました。

「非常用トイレは車載必需品」と認識も

2.5km離れた地点から2時間並んでガソリンスタンド着ということは時速約1キロでの走行ということになりますけれども、その間、スタンドのスタッフが(交差点など車列が途切れる個所を中心に)順番待ちの公平性が保たれるように見回っていたこともあって割り込みはありませんでした。
が、どの車もガソリンの消費量を抑えるために停車中はエンジンを切り暖房を止めていたので、それにならった結果、裏地付きのコート着用ながら相当に寒い思いをさせられました。

また、勤務時間中でしたので、会社貸与の(社外からの電話を内線番号で転送できる)携帯電話と個人の携帯電話とを持参していましたが、何本かの大切な電話があり、時間を持て余すということはありませんでした。

なお、上にも書いたように(ガソリン携行缶に入れてもらう人を含めた)1回あたりのガソリンの給油量と価格は会計上の手間を省くという理由で「20リットル、3000円」に統一されていて、
同じスタンド内の空きそうな給油機の手前に誘導され、給油が済み次第発車してもらうというベルトコンベアでのモノづくり的な作業が繰り返されている現場でしたので、
私の次の車の方のように「おトイレをお借りできますか」と申し出たら「ご遠慮いただいております」という返事が返ってきて「マジすか」と言った後黙り込んでしまった方もありました。

平時であればコンビニでトイレをお借りして、お礼の意味で何か買い求めれば良いのでしょうが、「入荷品があったときに限って営業をしているコンビニ」の方が多数派の時期でしたからそれも難しいし、そもそも「営業している限られたガソリンスタンド」の近くにあるコンビニの所在地を事前に把握できない可能性もありますから、「簡易トイレ(非常用トイレ)は車載必需品なのだ」と強く思わされました。

復旧・復興にあたる方々に感謝の念

また、給油の順番待ちで並んでいる間に、
四国から派遣された自衛隊(リンク先:防衛省「東日本大震災への対応」)の車両、
警視庁(リンク先:警視庁「東日本大震災に関する活動状況」)のパトカー、
中隊・小隊編成で都市ガス復旧現場に向かう人たちを乗せたバス、
首都圏や新潟から被災現場に向かう民間企業の車などをたくさん見て、
復旧・復興支援にあたってくださっている方々に改めて感謝の念を持ちましたし、
非常事態下にあっては「暖房のない車の中での待機」は受忍すべき範囲のことだとも思いました。

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