長野県での防災対策の基本 | 南海トラフ地震

防災グッズのイメージ

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もくじ


可能な範囲でベストをお尽くしいただければ

東日本大震災の発生を踏まえて内閣府から2012年8月29日と2013年3月18日に公表された「『南海トラフ地震』についての被害想定(リンク先:内閣府防災情報のページ『南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ』)」の中で長野県についてのこのような被害・避難想定値が公表されたのですから、国や長野県庁はこれまでやってこなかったレベルの防災行政を展開し始めているのですが、
ご自身・ご家族レベルでの防災対策の基本は多くの防災関連資料・書籍が記しているように「一人一人がわが事として防災・減災に備えること」です。

「内閣府の被害予測にあるような事態が起きた時にはどうするか」「被災後の生活再建の日々が過酷なものとならないように今何をしておくべきか」といったことについて、可能な範囲でベストをお尽くしいただければ幸いと考えます。

県庁サイトの防災関連ページなどの閲覧をぜひ」へ

県庁サイトの防災関連ページなどの閲覧をぜひ

「充実度の高いサイト」だけれど

長野県庁サイト内の防災関連ページ群は、
(1)「(トップページ上部にある)大分類『防災・安全』バナー内の中分類『防災情報』に置かれた小分類『災害に学び、備える』内に列挙された記事・資料」と
(2)「同じ大分類『防災・安全』内の中分類『災害情報』に置かれた小分類『災害情報・お知らせ』内に列挙された記事・資料」と
(3)「「同じ大分類『防災・安全』内の中分類『防災計画』内の記事・資料と
中分類『防災情報』『災害情報』に置かれた(小分類『災害に学び、備える』『災害情報・お知らせ』以外の)数多くの小分類ページ内に列挙された記事・資料」
との3本立てになっています。

千葉県庁サイト内の防災関連ページ群と同じような側面があるわけですが、
長野県庁は一時期「ガラス張りの知事室」が大きく報道されたぐらいですから県庁サイト内での情報公開度の高さを背景として掲載されている記事・資料の絶対量が多い上に、
(県内と隣接県で地震や火山噴火が相次いでいることで緊張感を持って取り組まれた結果の反映なのでしょうけれども)関連する記事・資料や外部サイトへの誘導の仕方にも工夫の跡がうかがわれますので、
同じ3本立てでも千葉県庁サイトとの充実度格差は歴然です。

「小分類『災害に学び、備える』『災害情報・お知らせ』のタイトル直下には『各々のページ内に列挙されている記事・資料の見出し』を置いて『ページ内にどのような記事・資料があるか』をスクロールしていく前に分かるようにすべきでは」とか「(多数派ではありませんが)『外部サイトへリンク』でリンク先を明記していない個所は改善すべきでは」とか「『自助による防災へ導く記事・資料』についてもう少し充実を」などと感じもしましたが、
記事・資料は読みごたえがありますし、閲覧性も高いですから、長野県庁サイト内の防災関連ページ群は「これまで見てきた中で最も充実していた『東京都防災ホームページ』」と充実度がほぼ同等の防災サイトだと思います。

「長野県庁による『市町村別の地震被害予測データ』」にもお目通しを

ところで、長野県庁が2015年3月に公表した「(長野県庁サイト内の小分類『災害に学び、備える』の下に置かれた『地震対策強化(被害想定策定)事業について』にある)長野県地震被害想定調査報告書」は、11個の想定地震毎に3つのシーンで2つの風速という条件の下での最大被害想定シーンなどを選んで、PDFファイル「概要版 その3」の98~99ページに「長野県全体の被害予測データ」、102~145ページに「市町村別の被害予測データ」を掲載していますので、
(事情が許すのであれば、「長野県内での大地震被災時イメージを教えてくれる好資料」でもありますし、PDFファイル「全体版 その1~その3」の閲覧をお勧めしたいところですが)、
「概要版 その3」であれ「全体版 その1~その3」であれ「地震被害想定調査に基づく『市町村別の被害予測データ』」を追跡していくお気持ちさえあれば、お住い(あるいは勤務先)の市町村での被害想定をご自身で把握することが可能です。

また、この調査での想定地震は「長野盆地西縁断層帯の地震(ケース3)」「糸魚川-静岡構造線断層帯の地震(全体=北部・中部・南部区間が一体活動)」「糸魚川-静岡構造線断層帯の地震(北側=北部区間と中部区間の『牛伏寺断層』が一体活動)」「糸魚川-静岡構造線断層帯の地震(南側=『岡谷断層群』以南の中部区間と南部区間が一体活動)」「伊那谷断層帯(主部)の地震(ケース3)」「阿寺断層帯(主部南部)の地震(ケース1)」「木曽山脈西縁断層帯(主部北部)の地震(ケース1)」「境峠・神谷断層帯(主部)の地震(ケース1)」「想定東海地震」「南海トラフ巨大地震(基本ケース)」「南海トラフ巨大地震(陸側ケース)」という11パターンの地震動なのですが、
最も大きな被害が想定される「糸魚川-静岡構造線断層帯の地震(全体)」の、最大被害想定値は「条件が『夏・12時・強風』のときの『死者数』=7,060人」「条件が『冬・深夜・強風』のときの『負傷者数』=37,760人」「条件が『冬・深夜・強風』のときの『死者及び負傷者数』=43,550人」「条件が『発生2日後』の『避難所避難者数』=183,770人」「条件が『発生2日後』の『避難者総数』=367,540人」「条件が『冬・18時・強風』のときの『全壊及び焼失建物数』=97,940棟」とされていますので、
おおよそのイメージをつかむために「長野県の推計人口(リンク先:長野県の統計情報『長野県毎月人口異動調査(2013年4月分)』)」は2013年4月1日現在で2,121,223人ですから、これを使って人口比を求めてみると、「死者数が県民300人に一人」「負傷者数が県民56人に一人」「死者及び負傷者数が県民49人に一人」「避難所避難者数が県民12人に一人」「避難者総数が県民6人に一人」「全壊及び焼失建物数が県民22人に一棟」となります。

本サイトの「人口比で読む阪神・淡路大震災被害」ページに記したように、「兵庫県での『死者・行方不明者数は県民863人に一人』『負傷者数は県民138人に一人』『(前二者を合わせた)死者・行方不明・負傷者数は県民119人に一人』『ピーク時避難所避難者数は県民17人に一人』『全壊住宅及び焼失建物数は県民50人に一棟』」でしたから、
「糸魚川-静岡構造線断層帯の地震(全体)」が発生したときの最大被害想定値は、「阪神・淡路大震災との比較で2~3倍の大ダメージ」という、強烈なメッセージを発しています。

なお、「長野県地震被害想定調査報告書」には11個の想定地震について3つのシーンで2つの風速という6つの条件の下での被害想定が市町村毎に書かれていますので、地震の起き方によっては「大した被害といえないのではないか」と考える人が出てきても不思議ではない幅の広い想定値群となっていることに惑わされないよう、ご注意いただければとも思います。

辛い思いを避けるために必要な自助努力

いずれにしても、「巨大災害発生時には国や長野県庁がしかるべくやってくれる」という姿勢でいらしたら、「自力で危機から脱出し、被災後の困難が続く日々にできるだけ辛い思いをしないようにするための最善の手段は、自助努力による事前準備の積み重ねだったんだ」と、ご自身の体験を踏まえて、後日、きっと後悔されることでしょう。

幾分の不十分さが残るものとはいえ、長野県庁サイト内の「災害に学び、備える」を中軸とする防災関連ページ群には地震・火山噴火・大雨・強風といった自然災害の発生にかかわる防災情報が掲載されていますし、そこからリンクが張られているジャンプ先外部サイトにもご参考になる記事・資料が存在しますので、お時間をおとりになれる方には興味を持たれた記事・資料についての閲覧を試みられることをお勧めいたします。

なお、(いずれも「首都直下地震対策」を主要テーマとして作られているものですが)、板橋区品川区渋谷区江戸川区という優れた4区役所サイトの防災ページ群内の「自助に役立ちそうな防災情報」に目を通され、それらを基にして関心を持たれた「自宅用と外出時用の防災グッズ」についてネットや店頭で調べて「巨大災害発生の日とそれに続く苦難の日々」に備えて用意しておくことなど、可能な範囲で必要な自助努力を積み重ねられることについても強くお勧めしたいと思います。

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