「取るべき自主防災対策」についてのQ&A
三つの質疑応答
なお、「首都直下地震の想定被害状況と取るべき対策の部」の第2のパートにあたるQ&Aのコーナーでは、次の三つの質疑応答がありました。
「地上」と「地下」はどちらが安全か?
一つ目は
パネリストの博多大吉さんからの「どっちがというとなんなんですけど、地震が起きたとき、『地上』と『地下』ってあるじゃないですか? どっちにいた方が安全なんですか?」という質問に対する
渡辺実先生からの「基本はやっぱり相対的なリスクを考えたら『地上』。
『地下』は安全だという方もいるのですが、実は地震の揺れは確かに『地上』より『地下』の方が震度感が1ぐらい小さいんです。でも、『地下』って真っ暗闇になりますよね。閉鎖性ですよ。火事でも起きれば、煙のトンネルになってしまう。煙突みたいなものです。それから迷路性。入り組んでいる。
ですから、大地震があったらできるだけ早く『地上』に出る。ただし、『地上』に出る部分というのは階段で狭いんですよ。そこにワーと押し寄せると、それこそ将棋倒しになるんですけども。だから、その状況をどう判断するかですね。」という回答と、
これに関連する博多大吉さんからの「外へ出ていったら看板が落ちてきたりとか、逃げ場がない。」という発言などに対する
渡辺実先生からの「そうですね。阪神・淡路大震災の時、20年前の時も、いわゆる手抜きの建築物が結構倒れてるんですよ。で、その手抜き率がよく分からないんですね。外から見たんじゃ分からない。ですから、大都市の場合には建物構造というさっき1981年、昭和56年というのが出ましたね。でも、その年より以前に造られた建物はまず間違いなくぺしゃんこになります。
1981年というのは建築構造を大きく変更したんですね。それは(柱が)太ければ良いということじゃなくて、中に入っている鉄筋の数とか、それを巻いてるループ筋というのですけど、こういうものを適切に入れないとただ太いだけでは良くないですね。」という回答でした。
90年間、大きな地震が1回もない不思議さ
二つ目は、
この渡辺実先生からの回答があった直後に、
島村英紀先生から「実は、最近は大きな地震を近頃食らってないんですよね。ですから、首都圏というのは、東から太平洋プレートが入っていて、北米プレートに首都圏が乗っていて、こちらからフィリピン海プレートが入ってと、三つのプレートがぶつかっているところ。
ですから、地震が起きる理由が、とっても多い所なんですね。世界的にそういうところで、3000万人も住んでいるのはここだけです。そういった意味では、本当は地震がいっぱい起きてもいいのだけれども、今まで不思議に起きていなかった。とくに1923年以来、90年間は大きな地震が1回もないのですよ。」という発言があったのを受けた、
パネリストの八木亜希子さんからの「それは何でですか?」という質問に対する
島村英紀先生からの「それはかなり不思議なことで、理由はわかっていません。火山もそうなんですけど。ただ、そういった意味では、『3.11』をきっかけにですね、今まで起きてなかったものが起きる。地震も火山もそうです。どうもそうなりかかっているんではないかという気がします。」という回答でした。
「備蓄品」と「非常時用携帯品」への助言は?
三つ目は
司会の浜田雅功さんからの「テレビでよくやってますけど、地震が起きた時のために、絶対に用意しておいた方がいいというものは?」という質問に対する
渡辺実先生からの「それは、『水』や『食料』というのは当たり前の話ですよね。で、今までは3日間の備蓄をお願いしてたんですけどね。ところが、あの3日間の根拠ってご存知ですか? なぜ3日なのか? 昔は『3日もあれば電気が来る。それから行政は3日もあれば立ち上がる、支援に行ける』という根拠だったんです。
でも、20年前の阪神・淡路大震災を見てくると、3日で電気が来ませんでした。こういう過去の災害を踏まえると、『東京首都圏直下』の場合は、やっぱり一週間ぐらいは最低限備蓄しておいて下さい。」という回答と、
パネリストの八木亜希子さんからの「家では備蓄するとしても、歩いてる時に起きること、結構あるじゃないですか? いろんなものを持ち歩けない普段。 そうした時に絶対にコンパクトで、一個これだけは、というのはありますか?」という関連質問に対する
渡辺実先生からの「はい。今の時代ですからやっぱりスマホとか携帯とか、これの電池が切れるというのは、まさに大パニックですよね。ですから、必ず『電池式の充電器』を持っておられると良いと思うんです。
皆さんが持っているスマートフォン、携帯電話って本来は通話のために使って欲しい。ところが、あの中データバンクになっていませんか? 電話番号を覚えてますか。メールアドレスを覚えてますか。全部あの中に、メモリーに、入っているんですね。そうすると、実はいずれ電話も通じるんですよ。その時に、電池が切れていて、携帯電話が使えない、スマホが使えないという都市型の我々にとっては、災害対策として、今の時代は絶対避けなければいけないと思っています。」という回答でした。