「東京23区役所防災ページ群」の充実度比較
もくじ
- 「この格差、このレベル」という驚き
- 首位は「板橋区」、最下位は「千代田区」
- 辛い思いを避けるための手段は?
「この格差、このレベル」という驚き
前回(2月2日付)の投稿記事「東京53区市町村防災サイトの私的評価基準について」で書いたように、2016年の1月下旬から「首都直下地震などによる区市町村別の被害想定ページ群」の最後のページにあたる「X X での防災対策の基本」に、各区役所・市役所サイト、各町役場・村役場サイト内の防災ページ群についての私的評価を入れる作業に取り組んでいました。
が、2月中旬末に23区役所サイトの評価づけがすべて終わったところで、「東京都の23特別区分だけでこんなに格差があるのだ、しかも低レベルのサイトが多いのだ」と分かり、本当に驚かされました。
「東京23区内にお住いの方々、23区内に通勤されている方々、23区内を国内外から訪れる方々は、
『(1)国と中央省庁が巨大災害の被害想定をし、対策費を用意した上で、都道府県に各々の防災計画を作らせる。(2)各都道府県は防災計画に基づいて、独自の防災対策を展開すると同時に、区市町村に各々の防災対策をとらせる。(3)各区市町村は公助・共助・自助の防災対策を展開していく』という構図の中で、
『東京23区役所の多くはこの程度の自助防災支援の取り組みしかしていない』という現実を知った上で、自宅用と外出時用の防災グッズを自己責任で用意しておかないと、どんな恐怖と生活上の不便さ・危険さに直面させられるか分からない」と、
(私自身が、目黒区・中野区・世田谷区に居住経験を持ち、23区すべてに足を運んだことのある者の一人ですので)、強く思わされました。
首位は「板橋区」、最下位は「千代田区」
そこで、「三多摩地域の市町村サイトの評価づけ」は後日行うこととして、取り急ぎ、「東京23区役所の防災ページ群」内の全ページと関連PDFファイルなどの一部に目を通す作業を踏まえた、私的評価を以下に掲げることといたしました。
なお、分かりやすくするために、10段階の私的評価を「優」「良」「可」「不可」の4ランクに分け直しています。
- 「優ランク」
- 城北地域の板橋区(レベル10)と城南地域の品川区(レベル9)と都心部の渋谷区・城東地域の江戸川区(共にレベル8)の4区
- 「良ランク」
- 城南地域の世田谷区(レベル7)と城東地域の足立区・城北地域の北区・同じく城北地域の練馬区(共にレベル6)の4区
- 「可ランク」
- 「都心部の新宿区・同じく都心部の文京区・同じく都心部の豊島区・城西地域の中野区(共にレベル5)」と
「都心部の港区・同じく都心部の台東区・城東地域の墨田区・同じく城東地域の江東区・同じく城東地域の葛飾区・城南地域の目黒区・同じく城南地域の大田区・城西地域の杉並区(共にレベル4)」
の12区 - 「不可ランク」
- 都心部の中央区(レベル3)と城北地域の荒川区(レベル2)と都心部の千代田区(レベル1)の3区
このうち、「優ランク」の板橋区・品川区・渋谷区・江戸川区という4区役所サイトの防災ページ群については「説明の分かりやすさと閲覧性への配慮の際立った高さ」が確認されました。
とりわけ板橋区のサイトでは18地区中10地区についての詳細な「地域別防災対策マニュアル・防災マップ」などコンテンツも充実していますし、
品川区のサイトでも動画配信による防災啓発などの工夫は評価されるところです。
とはいえ、その板橋区でさえ、(23区の中では「自助による防災への導きの姿勢」が非常に強いのですけれども)、それでも「(東日本大震災で仙台市民が体験した)都市ガスの供給が1か月間停止したときのお湯づくり対策」などへの言及はゼロですから、「記載しておいて欲しかったこと」が数多く取り残されているのも現実です。
一方、「不可ランク」の中央区・荒川区・千代田区という3区役所サイトの防災ページ群については、(「立派なサイトにリニューアルした」と自画自賛している区役所もありますけれども)、「『自助による防災への導きの姿勢』の極度な弱さ」が確認されました。
また、「良ランク」と「可ランク」の16区の中には、
(1)「(5年前に発生した東日本大震災以降、東京都の被害想定が見直され、防災をめぐる新しい知見も数多く公開され続けているのに)、10年前に更新されたままのページが沢山残されている」という墨田区・目黒区・中野区、
(2)「どこに何が書いてあるかがよく分からない」「ほとんどのページに添付PDFファイルの内容説明がまったく書かれていない」「他区が載せているPDFファイルを1区だけ添付していない」など、「閲覧性への配慮の欠け方以前の段階で問題がある」という台東区・葛飾区・大田区・杉並区・北区・練馬区、
といった9区が含まれています。
これらのサイトは、「優ランク」の板橋区・品川区・渋谷区・江戸川区という4区役所サイトの防災ページ群などを参照して改善を図れば、大きくランクアップする可能性があるものと思われます。
辛い思いを避けるための手段は?
「東京23区役所の防災ページ群」の充実度がこのようなことであれば、「(銀座や東京駅などでの遭遇を含めて)巨大災害が発生した時に、自力で危機から脱出し、被災後の困難が続く日々にできるだけ辛い思いをしないようにするための手段」は、
(1)お住いと勤務先の区の防災マップを調べておくこと、
(2)板橋区・品川区・渋谷区・江戸川区という4区役所サイトの防災ページ群などを参照して「自助に役立ちそうな防災情報」にご自身で目を通しておくこと、
(3)それらを基にして関心を持たれた「自宅用と外出時用の防災グッズ」についてネットや店頭で調べて「その日とそれに続く被災後の日々」に備えて用意しておくこと、
などとなるのでしょう。
「三多摩地域の市町村サイトの評価づけ」に先行して、これからしばらく、「携帯用を含めた防災グッズ」について調べ、記事化していきたいと考えるようになりました。
(投稿日:2016/02/21 更新日:2017/05/22)
本ページにはグーグル社のSNS「グーグルプラスページ」への投稿記事を(小見出しを加えた上で)再掲載しております。
他の投稿記事のテーマと記事の冒頭数行については、下にあるグーグルプラスバッヂ内の「被災体験記ノート」という文字部分をクリックしてご閲覧ください。
なお、これまでの投稿記事のテーマ傾向にご関心がおありの場合には、右下の「これまでの「被災体験記ノート」投稿記事一覧」をご参照ください。
「これまでの「被災体験記ノート」投稿記事一覧」はこちらへ