被災地発の映像からは読み取れない人々の思い
もくじ
- Nスペ「復興の壁・未来への鍵」を見て
- 「写されている人の思い」を反映していない映像
- 「別れと悲しみ」「環境劣化の苦しみ」が消滅
Nスペ「復興の壁・未来への鍵」を見て
数日前の日曜日(2013年9月8日)にNHKスペシャル「震災ビッグデータ2『復興の壁・未来への鍵』」という番組が放映されました。
「震災ビッグデータ」を使った、「"いのちの記録"を未来へ(2013年3月3日放送)」、「復興の壁 未来への鍵(2013年9月8日放送)」、「"首都パニック"を回避せよ(2014年3月2日放送)」、「いのちの防災地図~巨大災害から生き延びるために~(2015年3月10日放送)」と続く、好シリーズ番組の第2回にあたるものでした。
「写されている人の思い」を反映していない映像
内容の前半部は
「いわゆる『ビッグデータ』を使うことで、被災後の各自治体での人口の推移や企業間取引数の推移など、『復興の今』がピンポイントで分かるようになった」
「とりわけ1次取引先だけでなく2次取引先までを含めた企業同士の複雑に絡み合ったネットワークを把握できるようになった意義は大きい」
「このネットワークの中に見えてきた『コネクターハブ』と呼ばれる企業が復興のカギを握っている」といったものでしたが、
石巻市内でインタビューを受けている企業経営者の方々や製造現場で働く方々の映像から「被災者としてのつらい思い」が消え去っていることにある種の驚きを感じました。
半年ぐらい前に映画スターの高倉健さんのロングインタビュー番組を見ていたところ
「気乗りしないで役を演じた映画をこっそり映画館に見に行ったら、お客さんが感情移入して声援してくれてるんで、『映画って恐ろしいものだ』と思いましたね」
と発言されていましたから、「映像は、『写されている人の思い』と関係なく出来上がり、後世まで残る」ものなのでしょうが、
今回放映されたNHKスペシャルの映像については、少し残念に思いました。
「別れと悲しみ」「環境劣化の苦しみ」が消滅
というのも、いまグーグルプラスページで使っているプロフィール写真は「高度1万メートルを西へ向かって巡航飛行中の旅客機の機窓から撮ったもの」で、雲のじゅうたんの下はロシアの大地、青空のかなたには宇宙がつながっているという一枚の風景写真でしかないわけですが、
私でさえこの青空の部分に東日本大震災で亡くなられた親類縁者の方々のお顔を(ラファエロやエル・グレコの描いた宗教画のように顔だけの天使が同時にたくさんいるのではなく)個々人・家族単位でときどき思い浮かべていますので、
石巻市内企業の部で映像に姿を残された方々であれば、(死者・行方不明者数が市民41人に一人、全壊住宅数が市民8人に一棟、ピーク時避難所避難者数が市民1.4人に一人だった石巻市で生活されているのですから)、もっと多くの別れと悲しみが仙台市内での被災者との比較であったでしょうし、生活環境も被災前より劣化しているはず、
と推測されるからです。
「震災ビッグデータ2『復興の壁・未来への鍵』」は「『被災者の思いや置かれている厳しい現実』を映像はなかなか伝えてくれない」と改めて教えてくれた番組でもありました。
(投稿日:2013/09/11 更新日:2017/04/03)
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