「防災用非常食」の選び方と使い方

防災用非常食の一例

防災用非常食の一例

「広い意味での防災用非常食」

2015年3月10日の夜に放映されたNHKスペシャル「震災BIGDATA4 いのちの防災地図 ~巨大災害から生き延びるために~ 」は、
「防災用非常食」には、長期間保存可能な「狭い意味での防災用非常食」の他に、
水・電気・ガスの供給再開直後からほとんどのお店が閉まっている中で耐乏の日々を送ることを可能にした「(多くのお宅で無意識に備蓄していた『お米』に代表される)広い意味での防災用非常食」があった、
ということを教えてくれる好番組でした。

「備蓄しておくべき『広い意味での防災用非常食』にはどういったものがあるか」については3月11日付の投稿記事「Nスぺ『いのちの防災地図』と備蓄の重要性」に記したとおりですので、本稿では「狭い意味での防災用非常食」について記述します。

『狭い意味での防災用非常食』は3タイプ」へ

「狭い意味での防災用非常食」は3タイプ

まず、「『広い意味での防災用非常食』と『狭い意味での防災用非常食』はどのように扱われているのだろうか」という問題意識を持ちながらアマゾンのサイトに掲示されている「防災用非常食」について調べてみたところ、
(「10件以上のカスタマーレビューが付いているのは24の商品だけ」という意外な少なさでしたけれども)、
水を加えたり加熱したりしなくとも食べられる長期保存食品」群が9項目、
水を加えたり加熱したりすれば食べられる長期保存食品」群が2項目、
そして「長期保存飲料水」、
という3タイプ12項目に大別できることが分かりました。

水を加えたり加熱しなくてよい長期保存食」へ

水を加えたり加熱しなくてよい長期保存食

このうち、「水を加えたり加熱したりしなくとも食べられる長期保存食品」をカスタマーレビューの多いもの順に並べると、
(携帯用非常食としても挙げられていた)賞味期限5年の一口ようかん(5本入り)」が2商品で252件、
カンパン」が3商品で94件、
ビスケット」が2商品で81件、
クラッカー」が2商品で67件、
飴・キャラメル」が2商品で39件、
温めずに食べられるカレー」が2商品で30件、
ビスケットバー(=栄養補助食品)」が1商品で25件、
もどし水入り餅」が1商品で17件、
パンの缶詰」が1商品で11件
となっていました。

水を加えたり加熱を要する長期保存食」へ

水を加えたり加熱を要する長期保存食

また、「水を加えたり加熱したりすれば食べられる長期保存食品」をカスタマーレビューの多いもの順に並べると、
米飯・アルファ米」が2商品で52件、
フリーズドライ 味噌汁」が2商品で44件
となっていました。

長期保存飲料水」へ

長期保存飲料水

さらに、「長期保存タイプの自然水・天然水」のカスタマーレビューは4商品で186件でした。
(「一般的なタイプの自然水・天然水」については3月28日付の投稿記事「『防災用飲料水』の選び方と使い方」をご参照ください。)

『防災用非常食の備蓄』のお勧め」へ

「防災用非常食の備蓄」のお勧め

ところで、ごく最近、多様な防災用品を販売している東京都内のお店で「非常食コーナー」を詳細に見る機会がありましたけれども、
(「数日間以上の断水・停電・断ガス生活を体験をされていない店員さんとお客様ばかりなのでやむを得ないこと」とは理解しつつも)、
「水を加えたり加熱したりすれば食べられる長期保存食品」群の「レトルトご飯・おかゆ・おかず・味噌汁・うどん」「パンの缶詰」「フリーズドライおかず・味噌汁」など
「高価で美味しい防災食」系の非常食が、(製造日が大分前で賞味期限日がそんなに先でないものも含めて)、大量に置かれていて大変な違和感を感じました。

「『阪神・淡路大震災』や『東日本大震災』などについて映像で見た事態を『首都直下地震』や『南海トラフ地震』などで現実に起き得ること」に置き換えて考えてみる作業は大変難しいものだと思いますが、
「被災時の食事」をめぐっては日本経済新聞のサイトに「非常食だけで1週間 試して分かった問題点と対策」という、(「『高価で美味しい防災食』と『地元のスーパーで調達できる食材』とを使っての非常食生活レポート」とでも呼ぶべき)、大変参考になる記事が掲載されています。

また、私の場合の「被災時の食事」については、共に「『個人レベルの被災状況』のページ群」の中の「『ライフラインの崩壊』のページ群」にある、「『停電と通信の不調』のページ群」内の「自宅での停電と通信の不調」のページに”東日本震災当日分”を、「食糧不足」のページに”職場と自宅での食糧不足下での19日間分”を記載しておりますので、ご参照ください。

巨大災害が発生した後には「身体に感じる余震が続き、いつ大きな余震が起きるか不安で仕方がない」「断水・停電・断ガス生活がいつ終わるかの見通しもはっきりしない」「家の中の片付けが必要だし、職場復帰の準備も必要だ」など数多くのマイナス要因に囲まれた日々が始まりますが、その際できるだけまっとうな食生活を維持していくために、
(もちろん「狭い意味での防災用非常食(=長期保存飲食品)」を備蓄できるのであれば、「心にゆとりができる」というメリットがありますから、より望ましいのですけれども)、
3月11日の投稿記事「Nスぺ『いのちの防災地図』と備蓄の重要性」に記した「『東日本大震災の直後に被災3県で爆発的に売れた品々』に代表される商品(=広い意味での防災用非常食)」の備蓄も
ご自身の置かれている状況や持たれている関心事項などに応じて多めにされておかれることを、強くお勧めいたします。

追記事項

(投稿日:2015/03/16  更新日:2020/06/18)

なお、2019年秋の相次ぐ自然災害報道に触れる中で、「自宅備蓄中の『5年間保存可の”パンの缶詰”』はまだ食べられるのだろうか」という問題意識を持つようになり、かかりつけ医の先生のクリニックが開院している時間帯に試食してみましたけれども、とくに体調に異変は生じませんでした。
賞味期限日から3年数か月経過している製品を試食して「なかなか美味しいパンじゃないか」と思えたことについては私自身が驚かされましたが、災害発生時に医療と薬品などの普段どおりの供給を求めることには無理がありましょうし、この試食によって「『備蓄中の非常食の賞味期限日前の消費の必要性』を再認識させられたこと」も付記させていただきます。